20110628

本の記録 / ドトールコーヒー

自分が飲食業界に携わっているからなんですけど、やっぱり、飲食業界の創業期の話っておもしろいです。
やはり皆さん少なからず苦労している。失敗もしている。
それに負けずに様々な工夫をして、耐え抜いたからこそ、力のある会社となっています。

暗いイメージのある喫茶店業界を塗り替え、ゼロから新たな価値観のあるコーヒー文化を創り上げた、尊敬すべき方です。


ドトールコーヒー 「勝つか死ぬか」の創業記 鳥羽博道  日経ビジネス人文庫



p12 織田信長が掲げたものは「天下布武」であり、武田信玄が掲げたのは「風林火山」である。いずれも有名な言葉だが、戦いの発送だ。だが自らの力だけに頼る思想は、いつか力に負ける。家康の掲げた(「厭離穢土・欣求浄土(乱れたこの世を離れ、極楽浄土に往生する)」)「世のため、人のため」という使命が正しかったからこそ、多くの人々の賛同を得られ、江戸幕府は265年も続いたのである。

p41 「孟母三遷」という言葉がある。孟子の母は息子の成長段階に合わせて、三度転居したという。企業が成長発展していくにつれ、本社というものもそれに相応しい体裁をそなえていかなければならないと、私は常々考えている。本社というのは、ある意味でその企業で働く社員たちの心の変化を作り出す上できわめて重要なことだと思う。

p45 まさに元気のないときの空元気。業績不振に陥ったとき、逆境に追いやられたときに、自分の心まで萎えてしまうか、それとも自ら奮い立たせるか、これは大きな違いだ。

p65 20代前半の若さで世界一周したことで、私はある種の地球観を感じ取った。地球のサイズを身をもって知ったことはその後の私に何らかの影響を与えたと確信している。

p69 (潰れる、潰れると思うから心が萎縮して何もできないのだ。明日潰れてもいい、今日一日、体の続くかぎり全力で働こう)そう思ったことで不思議と気が楽になったのである。

p91 一般的に言って、新しいものを試そうとするのは若い世代で、中高年の人たちというのは新しいものになかなか馴染めないものだ。しかしながら、そういう方々が抵抗なく入ってきてコーヒーを飲んでくれたのだ。「よしっ、これでいける」

p93 チャンスは自分から積極的に仕掛けなければならない。さもなければ、目の前を通過する商機をみすみす見逃してしまうことになる。ただし、商機というものは―たとえどんなに自分が正しいと思っていることでも―「」、すなわち時代の大きな流れ(時代的背景、社会の成熟度)と、「」、すなわちそのことを起こそうとする機会が合致して初めて味方になってくれるものだ。(中略)家康の、「願いが正しければ、時至れば必ず成就する」というこの言葉は私の座右の銘の一つになっている。正しい願い、ポリシーというものは時期が来れば必ず成就する。その努力と忍耐は必ず報われるものだと思う。(中略)要は、積極的につくり、待つという姿勢だと思う。

p104 「恐慌になることもありうる」という前提に立って、借金の大嫌いな私が九八年の秋に銀行借入をした。それは、どんな事態が訪れようとも、社員に二年分の給与を払えるだけの態勢を整えておくためだ。(中略)一年前に借入したお金は九九年十月末にをもって全部返済した。それによる金利もばかにしてはならないが、それは危機に対する保険だったと思っている。

p110 自軍の十倍以上の戦力を誇った今川軍を相手に勝利した織田信長。不可能を可能にしたのはまさに信長の危機意識と、考え抜いた末の大胆な、捨て身な行動だった。(中略)商売、経営の要点もまさにこの点にある。常に自分たちの将来に危機感を抱き、どうしたら危機を乗り越えられるのか、とことん考え抜くことだ。負けるのが嫌であれば、どうしたら勝てるのか、それだけに思いをめぐらすことだ。商売というのは感情の赴くままにやっていては絶対にうまくいかない。心のうちに迷いがあるうちは考え続けることだ。必要とあれば人の意見にも真摯に耳を傾ける。そして、こうと確信したら臆さずに、一気に行動に移す。

p113 一言でいえば企業哲学の違いに尽きる。儲かりそうだからやるのか、一杯のコーヒーを通じて安らぎと活力を提供したいと心から願ってやるのか。その違いは必ずどこかに現れてくるものだ。コーヒーの味の差であり、店舗の魅力の差であり、接客態度の差だ。またお客様にもそうした違いを敏感に嗅ぎ分ける嗅覚があるようだ。ただ単に形式だけを真似てやったものは、感動、共感、共鳴を呼び起こすことなどできない。そこに魂が入っているかどうか。経営理念があるかどうか。さらには、店舗、商品など、お客様に提供するものすべてのものがそうした企業理念に裏打ちされたものであるかどうかということだと思う。

p118 堅実経営という言葉がある。何が堅実で、何が堅実でないか。私が思うに、堅実経営というのは、本業の深化に徹して、信用状況をこつこつと積み重ねながら、その上に企業の拡大を図っていくことだと思う。言い換えれば、足元を一歩一歩かためていきながら、一気に実力以上のことはやらないことではないかと思う。

p127 では、コーヒー一杯の価格設定をどこに設定すればいいのだろうか。毎日飲んでも負担のかからない価格とはいったいいくらなのだろうか。「二百円では高すぎる。百八十円ではいかにも値引きしたという感がある。やはり百五十円しかない。」

p139 繰り返し口にすることで私の考えが取締役、事業部長クラスに浸透し、今度は彼らがそのことを部下に唱えてくれるようになる。そうして「顧客第一主義」に根ざした社風が出来あがっていき、組織が一段階高いレベルになっていくことを願っている。

p149 反応の早さは信頼の深さ

p157 そもそも「○○でもやるか」という意識で商売をやってうまくいくものなど、何一つないのだ。

p182 私は日本で一番品質のよいソーセージをつくるメーカーを探して、それが栃木県にあるハムメーカーであることを突き詰めた。そこで、すぐにパンをもって栃木まで車を走らせた。(中略)日本のあるパンメーカーと一緒にドイツに行って、まずソーセージを味わってもらって、それからドイツ、フランスで集めるだけパンを集めることにした。

p187 クリーム色が色彩心理学上、母性愛を示す色だということが記されていた。(中略)さらに、活力を示す色が赤茶色だということも知り、壁は赤色で塗装することにした。また、スプーン、カップなどの什器・備品についても、安らぎと活力をあたるものはどういうものかという観点から選んでいる。たとえば、スプーンについては、これは男性好みになっていないか、若者好みになっていないか、といろいろ考えて、三回ほど作り替えもした

p202 企業において必要とされるのは、もう一段高い意識へレベルアップを図ることのできる人材であり、常に高い目的意識をもって成長しつづけ、仕事に対して厳しい姿勢で臨むことのできる人材だ。経営者のみならず全社員がビジネスマン的意識に立つことが会社全体のレベルを引き上げることになり、売上を伸ばし、利益を上げることになる。

p204 優しい人、俗に言ういい人、それも人間の性格としてはもちろん大切なことではあるし、それなりの高い評価を受けることもできるだろう。ただ、企業経営、組織運営という立場から考えるとちょっと違う。一番評価の高かったのはやはり、「仕事に厳しい人」だということだ。

p207 「口舌を以って民を叱るな。むしろ良風をおこして、その風に倣わせよ。風をおこすもの、吏と師にあり。吏と師にして克己の範を垂れ、その元に懶惰の民が悪法を見ることなけん」


鳥羽 博道 日本経済新聞出版社 2008-09
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次は、コーヒーつながりでタリーズ紹介させていただきます。

20110620

本の記録 / 世に棲む日日

今回は記録のみ。自分の過去のデータの復習です。

世に棲む日日 司馬遼太郎  文春文庫


(一)
p20 「侍は作るものだ。生まれるものではない。」

p36 「大事には」松蔭は言う。「大人物を用いよ。小事には小人物を当てよ。それが適材適所というものである。」

p117 大いなる義とは、仲間との約束を守るということであろう。たかがしれた約束ではないかとあるいは人は言うであろう。しかし松蔭というこの純粋思考の徒にすれば、その程度の約束すら守れず、その程度の義さえ行えない人間になにができるかと、深刻に考えている。

p157 お前の志は、どうやら遠大らしい。今大きな志の前で小さな過ちを犯したが、これはまあ過ぎたことだ。将来の志のために使え。

p223 浪人ではないか。藩から逐放されているくせになおも先代の藩主の忌日をおぼえていて、その日の精進をこの若者は守ろうとしている。「物事の大事というのは、ああいう男でないとできないものだ。」

p247 要するに、この時期の松蔭は気づかなかったが、専門家ではなく総合者であるようであった。そのするどい総合感覚からあらゆる知識を組織し、そこから法則、原理、もしくは思想、あるいは自分の行動基準を引き出そうとしていた。

p258 物事の理論を申してもつい空理空論になりやすい。それよりも実際にあったことをのべるほうが、自分の思想を語るのに語りやすい、ということであります。


(二)
p117 自分はかつて同志の中で、若くて多才なものを人選したことがある。久坂玄瑞をもって第一流とした。その次に、高杉がやってきた。高杉は知識の豊富な士である。しかし学問は十分ではなく、その議論も主観的にすぎ、我意が強すぎた。だから自分はことさらに久坂をほめちぎることによって高杉の競争心をあおり、学問させようとした。」

p148 革命の初動期は詩人的な預言者があらわれ、「偏癖」の言動を持って世からおいつめられ、必ず非業に死ぬ。松蔭がそれにあたるであろう。革命の中期には卓抜な行動家があらわれ、奇策縦横の行動をもって雷電風雨のような行動をとる。高杉晋作、坂本竜馬らがそれに相当し、この危険な事業家もまた多くは死ぬ。それらの果実を採って先駆者の理想を容赦なくすて、処理可能なかたちで革命の世を作り、大いに絵遺脱するのが処理家たちの仕事である。伊藤博文がそれにあたる。

p240 坂本(竜馬)は時勢の魔術性というものをどうやら天性しっていたらしく、時勢の紛糾がぎりぎりの袋小路に入り込むまでこの意見(航海遠略策)を露にはしなかった。それ以前にこの「正論」を露にしておれば、彼は自分同士である攘夷家に斬られていたであろう。

p241 正論では革命はおこせない。革命をおこすものは僻論である。


(三)
p12  井上はあとを追った、金をつくるにはここまで執拗でなければならなかった

p79 すべてをうしなったとき、初めて藩主以下のひとびとは狂人としての晋作の意見に耳をかたむけ、それに縋ろうとするにちがいない。(事というのはそこではじめて成せる。それまで待たねばならぬ)と、晋作はおもっている。それまでは、敗戦の連続になるに違いない。そういう敗軍のときに出れば、敗戦の責めを引っかぶる役になり、ひとびとは晋作を救世主とはおもわなくなるだろう。ひとに救世主と思わさなければなにごともできないことを、晋作はよく知っていた。

p96 「なるほど」と、白石正一郎は、晋作の話が終わるたびに、すこし目を細め、温和な顔を点とうなずかせるのである。

p124 晋作はかねて、影響力のない人間はおおぜいをうごかすことができないとおもっていたのだが、どうやら自分はそうであるらしい。

p126 集団の時代が来た。集団というものの生物的生理が発狂集団へ騰がるとき個々の「狂者」などはいない。今日であるための個人的危険性もなかった。発狂集団の中にいればかえって安全であった。

p174 この時期の彼の行動を跡付けてみると、自己愛というものをまるで持ちわせていないほどに捨て身の行動をした。本来、かれが自己愛から行動を決める人物なら、ロンドンから急ぎ帰国する必要などはなく、留学の機会をそのまま掴んで離さないほうが、身の利益であったであろう。

p205 太平洋戦争のベルは、肉体を持たない煙のような「上司」もしくはその「会議」というものが押したのである。そのベルが押されたために幾百万の日本人が死んだが、しかしそれを押した実質的責任者はどこにもいない。東条英機という当時の首相は、単に「上司」というきわめて中傷的な存在にすぎないのである。

p208 狂人には仲間がいた。仲間がいることによって狂気が相互影響しあい、行動を飛躍させていく。

p269 しかしこの時代の貴族が重要な会談を行う場合、すぐには物を言わない。棋士が駒をいったん置けばはずせないように、この時代、言葉がいったん吐かれれば取り消しがきかなかった。


(四)
p9 武士は料簡がせまい。しかしこのせまさがあってこそ、主に忠義などという、町人が聞けばばかばかしいかも知れぬことで腹も切り、命も捨てられるのだ。

p51 椋梨の行動は、機敏であった。かれはこれまで謹慎を命じてあったかつての尊皇派の旧政府員七人を捕縛し、野山獄舎でいそぎ首を刎ねてしまった。椋梨にすれば、この際幕府の印象をよくしておかねばならない。同時にこの政治犯の断罪によって藩内に淀んでいたあいまいな空気を一掃し、藩士一同の気分を決戦にむかって統一しようとした。

p69 ―自分たちは秩序的にも筋が通っている。ということを、自ら信じたかったし、全軍にそれを信じさせなければ、この長州人は大勇猛心を発揮できないのである。

p78 総司令官とは人格的な威厳を持って衆を率い、衆をしてよろこんで死地に身を投ぜしめるものであり、参謀とは、それに智謀を与える役目であった。

p90 宗教に儀式が必要なように、一つの軍隊での全員に死を覚悟させるためには、儀式が必要であった。(中略)今ここで敗れれば刑死、戦ってもむろん士である。一同、髪を切った。

p97 ところが御堀耕助はそれを怖れた。扇動者であるかれがそのままこの農民軍の大将の座にすわれば、世間の目にはどう見るであろう。脂ぎった野心家のようにもとられそうであり、御堀はそういう生臭さに耐えられない人物であった。

p116 兵は勢いである

p129 「勝利軍は無言なるがよし」(中略)力ある男の無言なる姿ほど、相手に畏怖を与えるものはないということを晋作は知っていた。

p135 この男は行動を欲するがために行動しているのであり、行動の終末がたとえ革命の成功であれ栄達であれ、天性いやなのである。

p138 事をなすべく目標を鋭く持ち。それに向かって生死を誓いつつ突き進んでいるときは、どの人間の姿も美しい。が、ひとたび成功し、集団として目標を失ってしまえば、そのエネルギーは仲間同士の葛藤に向けられる。

p213 「おうの、その荷物をもってこい。」行動に目的を持たせると、人間というものは、他愛のないもので、おうのから恐怖が落ち、いそいそと荷物を抱いて晋作のそばに寄ってきた。

p258 晋作にすれば幕府と対戦する以上、英国の同情を得ておきたい。が、こちらから平身低頭すれば今後の長英関係の悪しき基盤をなしてしまう、むしろここで長州藩の硬骨振りを見せておくほうが、今後の関係がうまくゆくとみていた。

p266 (戦いは一日早ければ一日の利益がある。まず飛び出すことだ、思案はそれからでいい



司馬 遼太郎 文藝春秋 2003-03
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20110615

本の記録 / レストラン

ビジネスで大切なことはみんなレストランで教わった  岡田博紀  大和書房


飲食業界に限らずすべての方におすすめの本を紹介させていただきます。

題名である程度内容はわかるのですが、背表紙に、いきなりこう書いてあります。
経理、人事・教育、マーケティング、マネジメント、接客・サービス、一生役立つビジネススキルはすべてレストランで学べる!
 経営とかビジネスっていうとすごく話がでかくなるんですが、要は飲食店で働けば、飲食店を運営できればビジネススキルすべてが身につくいうことです。

筆者の岡田さんは三菱商事や、ジャフコといった大企業に在籍したこともあるお方なのですが、題名のように「すべて学べる」のように断言する。
そこには、筆者が能動的に経営されてきたから他ないのですが、題名の言葉は本の内容にある事例から裏打ちされたもので、説得力があります。

内容を少しまとめてみます。


経理について

  • 経理はジョブローテションでまわす
  • 会社の数字をオープンにする
給与までをも公開しているとあり、これについては賛否両論あるかもしれませんが(私はスタッフ給与の差がある場合はすべきではないと思っています。)、会社の全てをオープンにする。
更に、経理をローテションとすることで、スタッフ力の底上げと同時に全員に収支についての意識を与える。職人が多い飲食業界の中でこういった視点はすごくなるほどと思いました。
ローテーション、使ってみたい。


マネジメントについて
  • 社員がひとりでも組織図を作る
  • 1年後の未来組織図を作る
組織図の重要性は他の本やセミナーでも見聞きした事あるのですがやはり、すごく重要なことなんですね。
組織図をつくることで、必要な人材やどの部門を強化するかなどが鮮明なイメージとして出来上がるとのことです。また、責任を明確にする。未来を書くことで育て方なんかもわかってくる。
これも作ってみよう。


人事・教育について
  • 募集広告の書き方で集まる人材が変わる
  • 価値観の共有がなにより大切
そうです。飲食店はホスピタリティ産業なのだからどうしてもマンパワーの重要性は高いでです。
やっぱりトップと同じことをその下の人が、トップがいない場で話しているのを聞くと、その組織をすごく信用したくなる。
具体的には、うちの店だったらこれとこれだったらどちらを優先するか、ということを明確に伝えます。(中略)わが社にはそういう価値観と行動指針の項目が30個ぐらいあります。価値観は創業当初からぶれていませんが、行動指針は絶えずブラッシュアップしてます。(p.83)

根本や守るべきことは変えずに、時代や環境に合わせてイノベーションをしていく。

まだまだマーケティングや会社を創るといった事なんかも書いてあります。

最後に特に共感ができた箇所を2点引用させてもらいます。

ぼくは仕事選びの基準は大きく2つあると思っています。ひとつは自分のエッジが立っているところを探すこと。もうひとつは自分の強みにきづくこと。エッジが立つところとは人より「興味がある」こと。自分の強みとは人より「できる」こと(p.8)
飲食業界は、働きさ先としてはすごくハードルが低いといういうか、門戸が広い職場です。 (中略)「ハードルが低いからとりあえず働いてみよう」ではなく、志の高い、才能にあふれた人たちが集まる業界に変えていきたいのです。(p.105)

岡田さんが大切にされていることは、「おもてなし」の心を飲食業界でもつこと。
志高い、筆者を尊敬します。

岡田 博紀 大和書房 2010-04-21
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20110612

本の記録 / 岩瀬大輔2

入社1年目の教科書  岩瀬大輔  ダイヤモンド社


前回、セミナーに参加したと「本の記録 / 岩瀬大輔」でお伝えしましたが、第2回目にも参加してきました。

普段接しないような業種の方と接したり、自分の考えを発表するなど、ものすごく意義のある会になりました。

今回もその岩瀬さんの本。

私は飲食業界で7年ぐらい働いてきて、最初の2,3年は職人として閉ざされたハコの中で毎日働いており、外で人と関わることがありませんでした。

忙しいと電話対応が粗くなってしまったり、今考えると社会人として、もう、失格ですよね。

今でも飲食業界の特に職人さんってってそういう方が多いのではないかと思います。

これでは自分の成長はないなと感じ、4年目ぐらいから積極的にセミナーに参加したり、経営者の方にお願いして営業に同行させてもらったりと動いてきました。

偉大な経営者の方の仕事の仕方を見よう見まねで真似をしたりもしました。

けれどもやはり自己流になってしまっていることが多々あると思うので、この本は入社1年目の(ための)と書いてありましたが、大変勉強になりました。

ビジネスに限らず、チームで何かをやるときには参考になるのではないかと思います。


仕事において大切な3つの原則
  • 頼まれたことは、必ずやり切る
  • 50点で構わないから早く出せ
  • つまらない仕事はない
詳しいことは本を読んでいただきたいのですが、岩瀬さんの大事にしていることが載っています。
この3つの原則を死守してきたからこそ、岩瀬さん自身の成長が加速されたとあります。


仕事への姿勢

第一項目は「何があっても遅刻はするな」。これが第一項目にあるということ。とてつもなく重要なことだとヒシヒシと伝わってきます。

上司の方からアドバイスをもらうため、メモや議事録の取り方、チームで仕事に当たることなど、いわゆるHOW TO本ではなく、その行為に対する姿勢や意味について多項目にわたって書かれています。

なかには宴会芸についても書かれていますが、宴会芸のネタが書かれているわけもなく、「死ぬ気でやれ」という姿勢が書いてあります。そうですよね。


では、参考になった部分を引用させていただきます。
情報は原典にあたれ  頼み方さえ誤らなければ、同業他社やライバル企業でも、情報を提供してくれるところはあります。くれぐれも「教えてくれるはずがない」などと最初から諦めないでください。先入観を取り去り、フットワークを軽くすることで、思いがけず原典にたどり着くことさえあるのです。頭だけでなく、手と足も使ってやってみてください。(p.87)
これ、早速実践してみました。将来やりたい事をやっているお店にいって色々尋ねてみると、丁寧に色々と教えていただけました。
まずは英語を早く「読める」ようになれ 僕の感覚では、世界中に存在する情報のうち、日本語と英語の情報量の比は1対100ぐらいだと思います当面は、話せなくてもかけなくても構いません。何の抵抗もなく、しかも速く読める能力だけは、急ピッチで習得してください。(p.104)
ヤラネバ。。。とJapan Times  をRSSでとっていますが。。勉強です。
社会人の勉強はアウトプットがゴール  教養として漫然と読むのではなく、常に「So What?」に落としこむように読まなければならないのです。(p.117)
メモをしたり本にラインを引くとき、講義を聴くときに、それを踏まえて何が出来るかと書く習慣をつけています。 次は行動です。
感動は、ためらわず伝える  もちろん、ご機嫌取りをするのではありません。そうではなく、感動を覚えることがあったのなら、ためらわずにそれを伝えるべきだと言いたいのです。(p.157)
うん。


最後に
そして最後に、こうあります。気分一新、明日から仕事頑張ります。
仕事とは、未知の分野への挑戦の積み重ねです。それを自分の血肉としてはじめて、社会人としての飛躍的な成長が望めるのだと思います。そして、勝負どころでチャンスをつかめた人が、より大きな次のチャンスの切符を手にするのです。その積み重ねが、あなた自身の成長にもつながっていくのです。(p.232)
岩瀬 大輔 ダイヤモンド社 2011-05-20
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20110609

本の記録 / プロデュース

プロデュース能力 佐々木直彦 
 日本能率協会マネジメントセンター 


ビジョンを形にする問題解決の思考と行動



この本は、私が大学時代バックパッカーとしての出発点である大阪発の船で一緒になった、ベビーフェイスなKさんと5年ぶりに飲みに行ったときに教えていただいた本です。

ベビーフェイスなKさんは中国で日本語教室のビジネスを始めるため船に乗っていました。山奥の大学の狭い世界に生きてきた私にとって、その行動はとてつもなく衝撃的でした。

私が将来、自分で何か事を興そうと決めたのはこの出会いあったからと言っても過言ではありません。

Kさんは(ベビーフェイスなくせに)その頃から自分自身をプロデュースしていたのかもしれません。


プロデュースというと、どうしてもテレビや音楽のプロデューサーという職業を思い浮かべてしまうんですが、この中では

  • プロデュースは、自分のやりたいことを、自分だけでなく協力者にとっても実現したい共通の夢にして、その夢を実現するための思考と行動のプログラムである(p.21)
  • 一つのビジョンのもとに、人々の力を借りて「新しい何か」を創りだし、現状を変えること
とあります。どんな職であれ、どんなポジションであれプロデュースは可能ということです。


プロデュースの流れについてざっとまとめると、
  1. 飛躍した思考や壁を越える思考・
  2. 小さな行動を経て、
  3. 熱い思いで目標や戦略を立て、
  4. チームを作り、
  5. 体験・夢・危機感などから生まれたビジョンを共有する。
  6. そして皆で行動へ移す
という流れになっています。

他にも色々と、考えさせらる所があったので引用しておきます。

  • プロデュースが生み出す価値(バリュー)を、早い段階で明確に示すことは非常に重要である。(p.289)
  • 共感者・支援者を増やし、いっぽうで反対者・抵抗者を説得したり、うまくかわしたりしながらプロデュースを進めていくには、プロデュースを進めていくには、プレゼンテーションが鍵になる。説得力のあるプレゼンの元になるのは、「プロデュースの必要性・有効性・実現性」についてのロジックである(中略)このロジックは、狭い意味での論理性だけではない。人の心を動かすストーリーや、背景にある人間的な思いも、納得性を生み出すという意味でロジックに含まれる。

その他にも、壁を超える思考や、ストーリー・ビジョン・戦略・価値などなどプロデュースに大きく関わる必要条件についても細かく書いてあります。


まずはやってみるという姿勢や、まずは小さな行動をすることで、徐々に賛同者を増やしていくという姿勢はものすごく重要なのだということについて改めて気づきました。


自分から発しなければ何も始まらない。
熱い想いをもって。
ケツの穴を引き締められる本でした。

佐々木 直彦 日本能率協会マネジメントセンター 2008-12-19
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20110601

本の記録 / フォント

フォントのふしぎ 小林章 美術出版社


フォントってすごく好きなんです。
まだまだ勉強中なんですが、すごく奥が深くて面白い。


コピーも好きだけど、それを構成するフォントが違うとコピーのもつ強さまで違ってきてしまいます。
ほんの少しの違いで、居心地がわるくなってしまう。または、しっくりくる。

文字がある限り、フォントはすべての基礎であると考えます。


店をやるときに、ロゴなんかどうしようと悩んでいるので、街中至る所いいものないかなと見て回っています。

==

筆者の欧文書体の専門家。

「高級ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?」といった項目から始まり、「ルイヴィトン」「GODIVA」「DEAN & DELUCA」や「Lufthansa」「dyson」といった例が挙げられています。

その他にもヨーロッパの街をつくっているフォント、字間や数字のフォントについても書いてあります。

Helveticaってロゴについてはこんなことも書いてあります。

昔は「大きく太く、大声で怒鳴るようにして目を引くこと」が絶対の目標だったと思うけど、今は「命に関わるようなことでなければ、ノイズにならない程度にさりげなく」みたいな流れになってるのかな。そのほうがスマートだし、読む人の心地よさはどうなの、みたいなことも考えられている気がします。(p.115)

当たり前だけど、フォントも進化している。
新しいフォントが店の看板や、道路から空港に至るまで交通網の案内表示、本、映画などにも使われていくっていう現状は、フォントが街や生活、文化までもを形成してるっていっても、間違いではないのかもしれません。


また、フォントを作る仕事っていうのは、想像できないほど細部まで計算されているのだということを学びました。

それでも、

形が目立つってことは、字の形に邪魔な要素があるってこと。その結果、言葉の内容が頭に入らないし、しまいには読むのをやめちゃう。そうさせないのが、フォントの本当の力なんです。(p.200)

と、裏方に徹する。
なんと奥深くありませんか。

「スープを飲んだ後、使ったスプーンの形がありありと思う出せるようなら、そのスプーンのデザインは悪かったということだ」(p201)

この言葉にすべてが詰まっていると思います。