地球の論点 Whole Earth Discipline スチュアート・ブランド 英治出版
この本はスティーブ・ジョブスがなくなった際、本屋の追悼コーナーにて手にしました。
表紙にはこう書いてあります。
若き日のスティーブ・ジョブスを熱狂させた伝説の雑誌
ホール・アース・カタログ 発行人が描く地球の「グランドデザイン」。
― Stay hungry, Stay foolish.
スティーブ・ジョブスが大学のスピーチで締めくくったこの有名な言葉は、彼の若い頃に熱中して読んだと言われるWhole Earth Catalogという雑誌からの引用でした。
その雑誌はヒッピー文化の西海岸にて最新の本・道具・技術などを紹介し、考えるきっかけやツールとして「若者自立支援のブックガイド」の役割を果たしていたといいます。
また、その姿勢は先進科学を否定せず、受け入れ、それによって自分のライフスタイルを選びデザインするという雑誌だったともいいます。
Whole Earth Catalog (HP)
そのスチュアート・ブランドが地球について論じた著書。
色々な意味で衝撃を受けました。そして、SPBSにて11月から開かれた3回の講座にて感銘を受けたのでここに残しておきます。
序章にはアメリカ官房長官から要請され2003年に描かれた気候変動のシナリオが書かれています。衝撃ですが、まずは引用します。
現在も地球温暖化によって北極の氷が解け、北大西洋では真水が増えている。GBNの予測によると、たとえば2010年には、8200年前の状況と同じく、突然「軽度」の寒冷状況が生まれる。気温や湿度が急激に下がり、風が強まり、主要な農業地域で干ばつが起こる。厳冬になり、思いがけない地域で強烈な嵐や洪水に見舞われる。私たちの予測によると、ヨーロッパの気候は2020年までにシベリアなみに近づく気配だ。
地球全体の食料、飲料水、エネルギーの供給量が心もとなくなる。地球の環境収容力は、2020年時点における推定人口75億人を維持できなくなる。環境収容力が限界に達した際には、過去100万年の教訓にあるように、資源をめぐる争いが再燃する。2020年の時点では、戦争、疾病、飢餓のために人口は減少し、その時点における環境収容力に見合ったところで落ち着く。
2010年の突然の変化は幸い起こりませんでしたが、異常気象と呼ばれる現象がこの何年か世界中で頻繁に起きているのは周知の事実ではないでしょうか。洪水、酷暑、熱風、干ばつ、ハリケーンやゲリラ豪雨。
また徐々に温暖化が進むのではなく、温暖化が進むと、メタンガス、氷、海流など様々な要因が重なり急激に、そして突然の変化、低温化が起きるとも書いてあります。
講義の中であった話ですが、地球が誕生した46億年前の地球を460mとすると人類(ホモサピエンス)が誕生して現在までわずか2cm。
母なるガイアにとって人間の存在はすごく小さなものです。
その人間が、46億年かけてつくりだしたその自然エネルギーを大量に消費し、地球の温暖化を促進している。その結果、前述の異常気象が現に発生している。
アメリカ西海岸の地域では地下水が少なくなっており、輪番断水がおきているとも聴きました。
これらをただ待っていてはならない。
そのために、人間がテクノロジーを使って何が出来るのかというのがこの本の論題となっています。
「人間が壊したものなので、人間が修復できる」と。
乱暴に要約してしまうと
- 都市化OK
- 原子力発電OK
- 遺伝子組換えOK
都市化を行うことで、水道や交通、公共設備をまとめてインフラ効率を図る。また人口爆発を抑止することも出来る。
原子力については、様々な比較や引用を用いて、このエネルギーが70億人を養っていくために一番現実的であると断定する。
遺伝子組換えについては、現在、除草剤や殺虫剤を使用し、土壌を耕すことで土の中に貯まったそれらの炭素を放出させる。(空気中の炭素が830ギガトンに対して、地球の土には1500ギガトン)これを遺伝子組換えで雑草や昆虫に強い植物を作り、除草剤を減らし、収穫量の増加、労働力の削減で持続可能な農業を目指していけると述べている。
原子力については、様々な比較や引用を用いて、このエネルギーが70億人を養っていくために一番現実的であると断定する。
遺伝子組換えについては、現在、除草剤や殺虫剤を使用し、土壌を耕すことで土の中に貯まったそれらの炭素を放出させる。(空気中の炭素が830ギガトンに対して、地球の土には1500ギガトン)これを遺伝子組換えで雑草や昆虫に強い植物を作り、除草剤を減らし、収穫量の増加、労働力の削減で持続可能な農業を目指していけると述べている。
ここに書かれているのは、常人では考えがつかない、テクノロジーの極論であると思います。先進科学を信じてきた彼こそ描くことができたグランドデザインです。
日本では今年、あのような事故が起こった事実があること、外国と違い日本には危険極まりない断層があるなど、原発に関しては賛否両論あることは否めません。
死ぬか生きるかという軍がもつ誤差管理があり、NASAなどの組織を持つアメリカと違い、現行の日本のシステムで日本人には核が扱えないのではないかということも講義で聴きました。
ただ、こうした私達が普段考えることのできない思考を一意見として見聞することで自分の考え方を選択しデザインする事がすごく重要なのだと思います。
図書館でちらっとでもいいので、読んでほしい本。
今年、こうやって地球を改めて考えることはすごく意義のあることだと思います。
これで2011年ラストのblogとします。来年もよろしくお願いいたします!
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