「事務ミス」をナメるな! 中田亨 光文社新書
思い出してみると、幸いなことに個人情報に関わることや、会社の存続を揺るがすような致命的なミスをしたことないのですが、コピーミスや印刷ミス、請求書などの発行ミスなどを何度かしてきました。
ミスをするたびに、自分に対して腹立たしくなります。
今回する著書は、なぜヒトはミスをするのかという心理学上のメカニズムを哲学や例題を出して説明していたり、銀行の合札などミスを防ぐために生活の中で工夫されたシステムがいくつも紹介されています。
また、仕事の手順や書式のレイアウトなどいい例、悪い例を挙げて紹介されており、事務のみでなく、思考の整理法などの参考になります。
飲食業でも、産地偽装や衛生管理などがここ数年起きており、システムをつくることで防げることが多々あります。
しっかりと気をつけようと思います。
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悪意の無い事務ミスでも、悪意の無いことの証明は難しく、痛くもない腹を探られることになります。(p.65)
解決策は、しばしば隠れていた別の問題を引き起こすものです。解決策はワースト1だけを解決しがちであり、それによって隠れいてたワースト2の問題が一位に繰り上がることがあるからです。 (p.75)
6つの対策の型 発想 抜本度・根治性 コスト ② 手順改良型 現状の補修 小 小 ③ 道具改良型 ④ やり直し可能型 被害の管理 中 中 ⑤ 致命傷回避型 ① しなくて済む型 抜本的対策 大 大 ⑥ 問題を逆手に取る型 〈資料5-2 6つの対策の抜本度〉(p.89)
ミスの対策を考える人は、必ず現場に足を運ばなければいけません。現場に行き、現物を見て、現実を知ることが肝心なのです。これを「三現主義」といいます。(p.189)
報告を上げやすくする要件(p.195)
- 手間がかからずにほうこくできること
- ミス報告に罪悪感や不利益感を感じさせないこと
- 報告内容が要点を押さえていること
- 報告数が多く、報告し忘れがないこと
- 報告の集計と分析が簡単なこと
教育工学のケラーの「ARCs理論」によれば、次の4つの「ない」が通達を無力化するのです。
- 「つまらない」・・・・・・・文字だらけで堅い言葉の通達を渡されても、興味が起こらない。
- 「自分に関係が無い」・・・・・・自分の仕事においてどう使うのか不明である通達は慎重に読む気が起こらない
- 「自信がない」・・・・・・難しくて守れそうにない通達には、やる気が起きない。
- 「できてもうれしく無い」・・・・・・やっても達成感が得られない通達は、やりがいがない。
作業の規則や手順を書き表す場合、「手順主義」と「概念主義」の二つの方式があります。手順主義は手順その1、手順その2・・・と順を追って作業を説明するものです。 非常に読みやすいので、マニュアルはこの方式で書くべきです。(p.203)
文庫本でページ数も少ないですが、読み応えのある著書でした。
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