20151103

「不」と「利」

「不」の解消


仕事をしていく中で毎日毎日、うまくいかないことで悩みもがいています。


ではどこにやりがいを感じるのか。


最近とあるサイトで読んだのですが、リクルートの方たちが大切にしていることが、
「世の中の不を解消」し、「新しい価値を生み出す」
というものでした。



リクルートの中で自分が教わったのは、「事業とは不の解消である」ということです。誰かの不平とか不満とかを解消すれば、何か商売になると教わってきたので、共通言語みたいになっています。何かの話をするときに、「それは誰の不を解消するわけ? その不は大きいの?」っていうので会話になります。needsとかwantsっていう言葉はあまり使わないですね。「誰の不を解消するのか」という話をします (東洋経済ONLINE 「商売に失敗する人」が絶対気づかない思考法 より)



私が店を始める際に、感じていたのもやはりこのことでした。


チーズ=ハレの日の非日常のもの。

チーズ=遠い山奥の手に入れるのがむずかしいもの。


これをもっと、日常のものに、気軽に楽しんでいけるカルチャーを育めればと考え3年半ほど前に渋谷の地でお店をはじめました。


チーズに関する環境にはまだまだ「不」があり、可能性があり、事業として自分自身が打ち込める、ものだと考えたのがきっかけであり、やりがいをものすごく感じています。


そしてまだまだおもしろいことができると信じています。



利とは


経営をしていく中で利(利益)を求めていくのは当然のことだと思います。成長していくための原資であるからです。


ただ真っ先に利を求めるという姿勢は自分本位であるような気がしてなりません。
歴史においても利己主義の者は滅ぼされていきます。

利己とは字のごとく己の利のみをはかること。


価値を生み出して、対価をいただくというのが商いとして本来あるべき姿なのではないでしょうか。


最近、名古屋に僕たちのやっていることを真似した店舗ができたことを聞きました。
キャッチコピーや商品の説明なんかも。


また東京の名を冠したうえにスタンドと言う言葉を用い、東京ではない別の地域で展開しているデザートがあることも知っています。


真似をされるということは、真似をされるだけの価値のあることをつくったことで誇れることなのかもしれません。


また大局的には、競合がでてきたということで、業界としてもいいことなのかもしれません。


その地域の方が喜んでくれ、そこになくてはならない店となれば付加価値を生み出し、とても素晴らしいことです。



ただ、やはり真似から始めるという店の姿勢は、まず何よりも第一に利を求めにいっている姿勢があるのではと感じられてしまいます。


本来の情熱などがその店から感じられるのかは甚だ疑問でもあります。何のためにそのお店をやっているのか?その店があることでどれだけの方が幸せになれるのか?



目指すもの


青臭い事を言っているかもしれません。


ただ私たちは自分たちがやっていることに誇りを持っています。


いままでなかった形態をゼロからつくりあげ、そのチーズが活きるメニューも試行錯誤して作ってきました。多くの方にフレッシュチーズのおいしさを味わっていただけたのではないかと自負しています。



自分たちが使う食材に関しても出来る限り顔の見える生産者さんから頂き、真摯にチーズをつくり、チーズにまつわる新しい価値観をつくっていく。


これを全うしていきたいと考えます。