20151103

「不」と「利」

「不」の解消


仕事をしていく中で毎日毎日、うまくいかないことで悩みもがいています。


ではどこにやりがいを感じるのか。


最近とあるサイトで読んだのですが、リクルートの方たちが大切にしていることが、
「世の中の不を解消」し、「新しい価値を生み出す」
というものでした。



リクルートの中で自分が教わったのは、「事業とは不の解消である」ということです。誰かの不平とか不満とかを解消すれば、何か商売になると教わってきたので、共通言語みたいになっています。何かの話をするときに、「それは誰の不を解消するわけ? その不は大きいの?」っていうので会話になります。needsとかwantsっていう言葉はあまり使わないですね。「誰の不を解消するのか」という話をします (東洋経済ONLINE 「商売に失敗する人」が絶対気づかない思考法 より)



私が店を始める際に、感じていたのもやはりこのことでした。


チーズ=ハレの日の非日常のもの。

チーズ=遠い山奥の手に入れるのがむずかしいもの。


これをもっと、日常のものに、気軽に楽しんでいけるカルチャーを育めればと考え3年半ほど前に渋谷の地でお店をはじめました。


チーズに関する環境にはまだまだ「不」があり、可能性があり、事業として自分自身が打ち込める、ものだと考えたのがきっかけであり、やりがいをものすごく感じています。


そしてまだまだおもしろいことができると信じています。



利とは


経営をしていく中で利(利益)を求めていくのは当然のことだと思います。成長していくための原資であるからです。


ただ真っ先に利を求めるという姿勢は自分本位であるような気がしてなりません。
歴史においても利己主義の者は滅ぼされていきます。

利己とは字のごとく己の利のみをはかること。


価値を生み出して、対価をいただくというのが商いとして本来あるべき姿なのではないでしょうか。


最近、名古屋に僕たちのやっていることを真似した店舗ができたことを聞きました。
キャッチコピーや商品の説明なんかも。


また東京の名を冠したうえにスタンドと言う言葉を用い、東京ではない別の地域で展開しているデザートがあることも知っています。


真似をされるということは、真似をされるだけの価値のあることをつくったことで誇れることなのかもしれません。


また大局的には、競合がでてきたということで、業界としてもいいことなのかもしれません。


その地域の方が喜んでくれ、そこになくてはならない店となれば付加価値を生み出し、とても素晴らしいことです。



ただ、やはり真似から始めるという店の姿勢は、まず何よりも第一に利を求めにいっている姿勢があるのではと感じられてしまいます。


本来の情熱などがその店から感じられるのかは甚だ疑問でもあります。何のためにそのお店をやっているのか?その店があることでどれだけの方が幸せになれるのか?



目指すもの


青臭い事を言っているかもしれません。


ただ私たちは自分たちがやっていることに誇りを持っています。


いままでなかった形態をゼロからつくりあげ、そのチーズが活きるメニューも試行錯誤して作ってきました。多くの方にフレッシュチーズのおいしさを味わっていただけたのではないかと自負しています。



自分たちが使う食材に関しても出来る限り顔の見える生産者さんから頂き、真摯にチーズをつくり、チーズにまつわる新しい価値観をつくっていく。


これを全うしていきたいと考えます。














20151012

ラグビーと調理師専門学校

ラグビーW杯、日本戦が終わってしまいました。
ありきたりな言葉ですが、本当に、感動をありがとうございます。


国歌斉唱の時の、あの体から湧いてくる恐怖と緊張に打ち勝つため、と同時にやってやるという抑えきれない高揚感から体の底から紡ぎだすように吐き出す深呼吸。その姿につられ、なぜだか僕も深呼吸をしていたほど全試合見入っていました。


南アフリカ戦、深夜にテレビのボリュームを抑えて観戦。試合終了時の勝利のトライで叫んで奥さんを起こして怒られた屈強な元ラガーマンは日本中でたくさんいたはず。


学生時代に打ち込んだラグビー。プレイヤーとしてもリーダーとしても「ああしとけば」という思いが出てきてしまうので、辞めてからはテレビでもスタンドでもそれほど見てきませんでした。

それでも今回は期待もあり、1戦目から虜となりました。



話は変わって先輩の経営者の方から面白いよ、と勧めていただいた「美味礼讃」を読了しました。


辻調理師専門学校(以下、辻調)をつくりあげた辻静雄の半生を描いた一冊。
料理とは文化とは、と追求するその姿や行動力に学ぶところが多々ありました。


大阪までの交通費を出してくれる、といった邪道な気持ちで夏休みに友人と辻調に体験入学を受けに行った高校2年生。ついでに大阪も遊びに。


こんな気持ちだったから、きっと高校から直接専門学校に入っていたら立派な料理人にはなれていなかったでしょう。


真剣に、責任感を持ち、最後まで


という事を教えてくれたのは大学生で出会ったラグビーであり、ラグビー部の先輩・仲間でした。

痛いし、疲れる。
ラグビーというスポーツは一人が抜かれるとあっという間にピンチになってしまうスポーツです。

One for All, All for Oneの精神で、責任感をもって守り、責めの時は仲間を活かしフォローをする。仲間に託す。何度でも立って、くらいつく。

そんなラグビーの精神を再認識させてもらった今回の大会でした。

これは会社を運営していく中、人生を歩んでいく中もとても大切なことではないでしょうか。


今から15年ほど前に、調理師専門学校に行くか、大学に行くか迷って、大学へ行き、そこで打ち込んだラグビー。


今回のラグビーのW杯と「美味礼賛」という私の読書の時期が被ったので、感傷に浸りながら殴り書きしてしまいました。





20150822

チーズ職人とは その名

チーズ職人とは、という心構えの文は私にはまだかけません。


まだまだ日々苦闘しており、その極みに達していないからです。


今回書きたいのは「チーズ職人」という名についてです。
なんだか、髭面で頑固で、乳香るそんなイメージがしませんか?



イメージ。一時期職人らしく髭面をしてみましたがなんだか汚かった。。。

チーズを作りたいといってチャレンジする若い人がでてこないと、なかなか日本にチーズは広まっていかないと考えています。


私たちの店の話で言うと、オープン当初から求人しているもののなかなかチーズ職人になってやろうという人が現れません。


これは少しだけれどもこの名に一因があるのではないのではないかと。
(他にももちろん要因はあるし、北海道でチーズ工房学んでいる人はたくさんいます。)


Cheese〜(CraftmanとかArtisan)ではなくて4文字程度でバシッと覚えやすい名前が広まればもっと門戸が開けるはず。


バリスタがコーヒー職人のままだったら、あんなにもイケメンが働いていないはず。
ピッツァイオーロがピッツァ職人のままだったら、みんなもっと頑固なはずで、ナポリピッツァがこれほど普及していないはず。


と半ば強引な仮説のもと、悔しいのでちょっと調べてみました。

調査


今回googleで単語を調べ、検索ヒット数で比較してみました。

“バリスタ”


あれ、思ったよりも少ない。

バリスタって兵器だったり、電子回路の用語でも使われるし、
コーヒーマシンのブランド名でも使われている。
それでその単語を排除して検索したが、変わらず。?



これには先ほどの兵器などの他の意味が
入ってしまっているので違うけれども参考までに。


“ソムリエ”


調べると野菜ソムリエやみそソムリエ..etc.、
入ってしまったのでワインに限定してもやはりすごい検索数。

さすが、世界中の職業


“ピッツァ職人(ピッツァイオーロ)”


やはりピザって言葉が日本では浸透していることがわかりました。




ピザ職人の1/10ほど。まだまだ知名度は低い。
(あとお店の名前も混在してしまっていますの)

ソムリエの半分程度。
イタリア語だけだけどピッツァが世界中にあるからでしょう。

“チーズ職人”


うわ、おもったよりありますね。
大検討、チーズ職人。



結果


調べてみると、やはりソムリエがダントツ多い。
そして思ったよりもチーズ職人の検索数が多い。


これには一次加工品を作るという意味で、ピッツァ職人やバリスタよりも幅広いコンテンツで紹介されるからでしょうか。だから希望があると勝手に解釈してみました。


ただチーズ職人という単語は「チーズを作る人」「チーズ熟成士(熟成を専門に行う人)」が混ざっており、なかには「チーズプラトーを作る人(チーズをお皿に綺麗に盛り付ける人)」までが混ざってしまっています。


そのため検索数がでたものの、このあいまいな言葉が日本のチーズにおける現状であり、全然違う職業なのでやはり名の定義付けが必要です。


それでも「チーズ職人 なるには」や「チーズ職人 年収」という検索候補が出てくるのはそういった未来を考えている人がいるという事実で嬉しい限りです。


名は大事。
実はそういった単語があればどなたかお教えて下さい。
素敵な名を勝手に作ってしまおうか。

チーズ職人も随時募集しています。

http://www.cheese-stand.com/recruit/
(文 フォルマジスタ藤川)


追記

チーズのプロの方にコメントいただき、「フロマジェ」という言葉があるとのことでした。

20150728

会社として

悩む 



店をやっていく中で、また会社を経営していく中で、時々すごく悩むことが有ります。

自分自身は会社のトップとして前進のベクトルで仕事をしています。

そして常に全体最適を考えて仕事をしているつもりです。


「街にフレッシュチーズを広めたい」


「新しい価値観を届けたい」


「よい会社を作っていきたい」


またチーズを作る職人としても掘り下げる作業を同時にしています。



ただ、ベクトルを進めるためにはもちろん一人では弱いしスピードも遅い。
そこでスタッフを雇用することになるのですが。。。


何度も同じことを注意しなければいけなかったり、その任せた仕事に打ち込んでいるのからかもしれないが部分最適な意見を言われたり、要求されたりする。

ベクトルが内向きの意見を言われたりする。

更に覚悟をしていてもスタッフが辞めてしまったりすると
(少人数の零細企業で一人抜けるダメージはものすごく大きい)

「なんだかなぁ」

と思うことがあります。これは経営者の方だったり、経営者目線で働いている人にはわかっていただけるのはないかと思います。(これまでの私自身の反省も込めて)



リバースして、また一からスタートしなければならない。

三歩進んで二歩下がる。


最近読んだ本、シリコンバレーの起業家でありベンチャーキャピタリストであるベン・ホロウィッツの「HARD THINGS」で起業家についてこう言っています。

どの起業家も、成功への明快なビジョンを持って会社を立ち上げる。驚くような環境をつくり、もっとも優秀な人材を集めてくる。力を合わせ顧客を喜ばせ、世界をほんの少しだけ良くするすばらしい製品を作る。どこから見ても最高だ。そしてビジョンを現実にするために昼夜を問わず働き、ある朝目覚めると、物事が計画通り進んでないことに気づく。(中略)現金は底をつき始め、ベンチャーキャピタリストは、迫り来る経済不況の中、資金調達は困難だとあなたに言う。ライバルとの戦いに敗れる。上得意の顧客を失う。卓越した社員を失う。 八方塞がりだ。どこで間違えたのだろうか。なぜ会社は思い通り動かないだろう。自分には経理能力があるのか。夢が悪夢へと代わり、あなたは苦闘の中にいる。 「人生は苦闘だ。 ー哲学者 カール・マルクス 」 苦闘とは、そもそもなぜ会社を始めたのだろうと思うこと。

(中略)苦闘とは料理の味がわからなくなること。苦闘とは、自分自身がCEOであるべきだと思えないこと。苦闘とは、自分の能力を超えた状況だとわかっていながら、代わりに誰もいないこと。苦闘とは、全員があなたをろくでなしだと思っているのに、誰もあなたをクビにしないこと。苦闘とは、自信喪失が自己嫌悪に変わること。苦闘とは、苦しい話ばかり聞こえて、会話していても相手の声が聞こえないこと。苦闘とは、痛みが消えてほしいと思うとき。苦闘とは、不幸である。苦闘とは、気晴らしのために休暇を取って、前より落ち込んでしまうこと。苦闘とは、多くの人たちに囲まれていながら孤独なこと。苦闘とは無慈悲である。


「何のために会社をやっているのだろう?」

と思うこともあります。

よく紹介されている京セラ創業当時の稲森和夫さんのエピソードで以下の様なものが有ります。

 ところが、ようやく事業が軌道に乗り始めたと思った矢先、思いがけないことが起こりました。創業二年目に入社した高卒社員十一名が、突然団体交渉を申し入れてきたのです。血判状までつくって、将来に渡る昇給、賞与の保証を求めており、要求が認められなければ全員やめると言い出しました。私は、「できたばかりの会社で、毎日必死に働いて、なんとか会社を守っているのに、将来のことまで約束すれば嘘になる。とにかく、みんなが入社してきて心から良かったと思える会社にするために全力を尽くす」と答えました。(中略)
 こうしてその場は解決したのですが、その時、私は大きな重荷を背負ったと思いました。私は会社を「稲盛和夫の技術を世に問う場」と思っていたのに、新しい従業員たちは、会社に自分たちの生活を保証してもらうことを期待していたのです。
 稲盛さんほどのお方でもこう思うのだから創業期の悩みとしては間違っていないのでしょう。


なぜ会社をつくったのか



こうした悩みが出てきた際には「なぜ会社としてやっているのか」を見直す必要があります。

ただチーズを多くの人に食べていただきたいだけであれば1人や夫婦2人でやっていればよいのです。

なぜ会社としてやっているのかといえば、より多くの人に世に新しい価値を届けるために会社として組織で強くやっていきたいと考えているからです。

1人では何も出来ません。


だからこそ

四の五の言わずに強い会社をつくっていく。
スタッフが働いてよかったと思えるような会社を作っていく。


また、何度同じことを言っても出来ないのは、仕組みができていないからです。
スタッフがやめてしまうのもそんな環境ができていないから。


無印良品ではマニュアルが6000ページもあるといいます!

仕組みをつくり、誰もが働きやすい会社を作って行きます。


稲森さんの先ほどの話の続きです。


「会社の目的とは一体何だろうか」私は改めて考えざるを得ませんでした。しばらくの間、悩み続けた結果、私は会社経営の真の目的とは、エンジニアである私の夢を実現することではなく、従業員とその家族の生活を守って行くことだと気付かされたのです。その時から、私は「稲盛和夫の技術を世に問う」という当初の目的を捨て去り、京セラの経営理念を「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」と定めました。
私たちも、スタッフが在籍することで楽しみ、成長を実感できるような会社を作っていきます。


求人もしています。
http://www.cheese-stand.com/recruit/


20150716

ぼくがメディアに出る理由

小沢健二が好きです。
「LIFE」っていう懐かしいアルバムを最近聞くことがあるですが、やはりいい。

ただ、「ぼくらが旅に出る理由」という曲だけ、あまり好きでなかったのです。
なぜだろう。


そんなこんなを思いながらブログの件名を考えてみましたが、傲慢すぎますね。

「ぼくがメディアに取材依頼をして頂いた際にほぼほぼ断らない理由」という題名に訂正です。



ぼくがメディアに取材依頼をして頂いた際にほぼほぼ断らない理由


なぜ3年やってこれたのか②のブログでも書きましたが、


CHEESE STANDは

  • 渋谷でチーズという意外性・話題性
  • フレッシュチーズを主体とした専門店
  • 他にない業態
  • 奥渋谷という個性豊かな店のひとつ

ということで3年経ったいまでも雑誌、ラジオ、新聞など多くのメディアに掲載いただいております。
またオウンドメディアやSNSの普及でそこでも取り上げて頂いております。


大変ありがたいことです。


この3年間、依頼していただいた取材についてはほぼすべて快く受けてきました。


その理由はシンプルです。


私たちが

「街に出来たてのチーズを」

というブランドコンセプトを掲げているからです。


「街に」の街は、街で生活する人、飲食する人という意味も込めています。


多くの方に出来たてのチーズの美味しさを味わっていただきたい。


そのためには多くの方に存在を知っていただかなければならない。


「最近メディア出すぎじゃない?」

などとご助言もいただきます。


品切れなど迷惑をおかけする、商品にブレが出るようならストップしますが、幸いまだチーズ自体の生産余力はあるので、取材を依頼していただける間はまだありがたくお受けしてもいいのかなぁと思っています。


チーズ好きの方はご存じの方がが多くいらっしゃいますが、ある集まりなどに行って、自己紹介をするとまだまだお店を知らない方が多いです。


(僕がこんなにイタリアを好きなのに)イタリア好きの方でさえ、涙。


多くのお客さまに店の存在自体を知っていただくために、メディアの方に力をお借りする。


逆にほぼ唯一、飲食店の方向けの専門誌はお断りしてきました。


卸などは行っていますが、そういった雑誌は「繁盛店の作り方」や「回転率」といった飲食店目線の雑誌であり、ターゲットがそこではないからです。


ターゲットは、素材を大切にし、想いを伝えていただける飲食店さん。(そういったかた向けの飲食の専門誌はもちろん出させていただきました)


そしてそれを食べていただく多くのお客さまであるからです。


まだまだハレの日に食する機会が多いチーズ。これがもっと日常のものになる日を願い、日々チーズ作りに励んでいきます。


最後に


もし、今後もテレビで私やCHEESE STANDをテレビやその他雑誌で目にすることがあっても、「多くの方にフレッシュチーズを日常食にさせたいんだなぁ」と温かい目で見守っていただけると嬉しいです。


メディアの方々、もしこのブログをご覧でしたら今後ともよろしくお願いします。
m(__)m



20150702

初夏のエロうま(野菜)タルト/藤川


お店のブログでも書かせていただきましたが、個人のほうでも。

先週、久松達央さん(以下、久松さん)と山内千夏さん(以下、千夏さん)と一緒にイベントをやらせていただきました。

経緯


久松さんとはスクーリング・パッドという学校つながりで、もともとその存在は知っていました。その後、2013年に発売された「キレイゴトぬきの農業論」を拝読し、おこがましいのですが共感するところが以下のように多々ありました。
  • (農業など)既存の体制に対して戦っている
  • 論理的、合理的な考えを持っているのと同時に「キラリとした何か」や「エロうま」など感覚を大切にしている
  • ITやSNSを駆使している
  • 情報をオープンにすることを大切にしている
  • スタッフと共にがんばっていらっしゃる

イベントに参加させていただいたのがきっかけで知り合うことができ、農園も見学させていただきました。


千夏さんは、もともとヨメのレストランのつながりでCHEESE STANDにも足を運んでくださっていました。


また千夏さんのおかげで伊勢丹新宿店の有名シェフが交代で監修されるキッチンステージにて、鎌倉binotの阿部シェフやパッソ・ア・パッソの有馬シェフに素材でチーズを使っていただきました。


とても温かく優しい雰囲気な方なのですが、しっかりと芯をもっていらっしゃり、素敵だなぁと。


久松さんと飲んだ際に、「何かやりたいね」という話になり、千夏さんが「トルタ・サラータ」という本を出版されたばかりだったので、「久松さんの野菜と僕達のチーズを使ってトルタをつくってもらおう」と考えたのが今回開催に至ったきっかけです。


そんなお二方のファンである私としては、とても嬉しいイベントでした。

お二方とトークイベントもさせていただきましたが、これも面白かった。


久松さんのトークは人を引きつける魅力がある。多分すごく勉強されていて、実証され、裏打ちされた経験で話されるからだろう。千夏さんの言葉もストンと落ちる。醸しだされる優しいお人柄から、よく聞かれ、発せられる言葉は強く的確です。

すべて勉強です。


メモ


久松さんと千夏さんの言葉で心に残った事をメモ


「何かをやり始めるときは、内でなく外にいる人に聞かなければいけない」


「見切り発車で良い」


「バスを走らせたものはバスをおりなきゃいけない」


「バスに乗せる人は早い人を選ぶ、追いつけないくらいの」


「広める側より応援する側でいたい」


「ズッキーニはエロうま」

「ズッキーニのこのあたりがエロい」と久松さん(ウソ)









20150627

なぜ3年やってこれたのか 番外編

なぜ3年やってこれたのか①
なぜ3年やってこれたのか②

前回に続き、3年を振り返って。

ヨメのおかげ

少し恥ずかしいのですが、ヨメには大変感謝しています。

ソムリエとして、ムードメーカーとして、PRの担当として、アイデアマンとしてお店に多くの貢献をしてくれました。

オープン後1年半後に店にスタッフとして入社してくれたのですが、前職は東京でも有名なイタリアンレストラン。
笑顔あふれる接客でファンも多くいたようです。


多くのレストラン関係者の方にチーズを使って頂けていたり、レストランで食事をされるような食に対する意識が強い方、イベントでお声がけ頂けたのも彼女がそのレストランでがんばってくれたおかげです。


オープン前大病をして入院、手術をしたもののオープン後に何度笑顔に救われたか。
この場を借りて御礼を言わせていただきます。


ぐらっつぇ


ハンズのおかげ


照れ隠しにもう1個。

近くに東急ハンズさんがあったおかげ。
何度も何度もDIYしてきました。

カッティングボードからメニューボード、看板、バックヤードのさまざまなもの。
ネジから水廻り品、牛廻り品まで。

故障や不具合があっても歩いて5分。

東急ハンズのアプリの経験値ランキングが100位を切ったこともありました。

次の店も東急ハンズさんの近くがいいなぁ、と思ったけど限られるなぁ。

チーズと経営

なぜチーズビジネスをしているのか



「論語と算盤」

のように、言葉の組み合わせでいかにも経営者らしいタイトルを付けて書いてみようと思ったけれども、一気に牧歌的になってしまいました。。。


チーズと経営。


なぜ、酪農系の勉強もしておらず、親族に酪農関係の仕事をしている者がいないのに、チーズを作り、チーズを使った飲食店の経営を始めたのか。


ただ、メディア向けのインタビューではなかなかうまく説明することができなかったり、本心が伝わらない部分がありました。


チーズが好きだから、といえばそれまでなのですが私には想いが有ります。

私の想い


それはチーズという媒体を通して「価値を生み出し世の中を少しでも良くしたい」という想いいです。

何をおおげさな、チーズごとき(チーズLoversの皆さま すみません。。)でという声も聞こえてきそうですが。


最近、元LINEの森川さんの著書「シンプルに考える」を拝読しました。

会社はなんのためにあるか?僕の答えはシンプルです。世の中に価値を提供するためにある。これがすべてです。もちろん、利益も大切です。利益が出なければ会社を存続させることはできません。しかし、利益が出るか出ないかは結果論にすぎない。価値を提供すれば、その結果として自然と利益はついてくるのです。

俺の〜という押し付けでもなく、利益だけを追求するのでもなく。

会社を成長させるため、スタッフが幸せになるためには利益が必要なのは言うまでもありませんが、利益が目的になってはならない。
皆が笑顔になるような価値を生み出す。


出来たてチーズの美味しさをより多くの方に味わっていただくことで、新しい体験、感覚を体験し、カルチャーが出来てほしい。食生活が少しでも豊かになってほしい。

他にも生きているからには、社会に貢献できればとも考えています。

10年ほど前から卒論で酪農のことを調べている際に酪農家が減少傾向になっていることを知りました。後出しになってしまいそうですが、そういった面からも社会貢献できればと考えています。

新しい価値を生む

話は変わって、司馬遼太郎の小説が大好きで、
そこには登場人物の葛藤やリーダーとしてのあり方、失敗が書いてあるだけでなく、男のロマンがあるからに違いありません。

有名な教科書に載っているような志士の他にも、
不利な状況でありながらも、藩のために忠誠を尽くした河井継之助。
軍事家として長州を導いた大村益次郎。

幕末に生きた侍たちは、各々の思想を持って行動していた。「日本を良くしたい」「新しい国をつくりたい」という想いがあったのだと思います。

Soup Stock Tokyoなどを手がける株式会社スマイルズの社長・遠山さんがスープを通して「世の中の体温をあげる」と言われていますがまさにこれです。


私も価値を生み続けていきたい。社会、人々のライフをより豊かにしていきたい。

そういった想いで今後も経営してまいります。
そして論語と算盤ではないですが、倫理をしっかりと持ち、社会に貢献・還元できるようにしていきたい。

もちろんチーズ大好きです。



20150607

なぜ3年やってこれたのか②

前半はこちら


  SNSのおかげ


これはとてつもなく恩恵を受けていると思います。

面白いデータが有ります。
若干古いのですが総務省の「情報通信白書(平成24年)」

最初の「図表2-3-2-10 ソーシャルメディア利用者数の推移」を見ていただくとわかるかと思いますが、2011年でFacebookのアクティブユーザー数は5倍〜6倍となっています。

肌感覚としても2011年〜2012年は周りの友人が登録している時期でした。
そして今でこそ閲覧しかしていない人もまぁまぁ皆さん投稿していたはず。

想いをみなさんがシェアなどしてくださり、オープン前には1000いいね!ぐらい頂いていました。

広告宣伝費にまわす資金の余裕がないのに、そのような時代にオープンできたのは幸運でした。


今でも看板娘でもある牛の前で多くの方が写真を撮ってくださり、多くの方がFacebook、twitter、LINE、instagramなどでアップしてくださっているのはとてつもなくありがたいことです。


あ、せっかくなのでinstagramも始めてみました。
お店アカウント: cheese_stand


  卸のおかげ


CHEESE STANDでは飲食やチーズの店頭販売の他にもオンラインショップをやっています。さらにはレストランでご使用いただいたり、ワインショップや高級スーパーなどの小売店にも並べて頂いております。

ミシュランに掲載されているようなお店や和食やバーに至るまで多くのシェフの手により様々なアレンジをしていただけることは作り手としては大変やりがいのあることです。

また東京だけでなく、広島、仙台、名古屋、静岡、大阪、京都など地方のレストランの方にも使って頂いております。

そうやって多くの場所で目にしていただくことで、ブランドとして知名度が広く行き渡ったはずです。


少し足踏みをしており最初の目標には達していませんが、Facebookの「CHEESE STAND」のページは5,500以上の「いいね!」を頂いております。

LINEスタンプや求人以外では広告は出していませんが、これだけの「いいね!」を頂けたのは利用いただいている飲食店さん、小売店さんのおかげでもあり大変感謝しております。


  メディアのおかげ


他にない業態のため、多くのメディアに取り上げて頂けました。
正確には記録できていませんが、新聞10紙 雑誌90誌ほど テレビ30本ほどに取り上げていただきました。ありがとうございます。

原則として頂いた取材依頼はお断りせず、ありがたく出演させて頂いております。
これには理由がありますが機会をみてブログで書かせいただきます。

また、チーズがあくまで素材であるため

  • オープン時
  • 専門店特集
  • 地域特集
  • ブッラータなど単品商品
  • 手みやげ特集
と様々な異なる特集でご紹介頂きました。

  販売形態


最初に飲食店の生き残り何%と書いておいて、若干訂正します。

CHEESE STANDでは飲食店以外にも物販(チーズ並びにチーズの関連商品、ワイン)、前述の卸、オンラインショップという3本の軸で販売を行っています。メーカーでもあるため純粋なレストラン等の飲食店とは異なります。

最初にお店をオープンする前に異業種の経営者の方に
「僕ならオープンする前に卸先をみつけておく」
と言われてたのが、いまでも心にしみついています。リスクを最小限に抑える経営者の方らしいご助言でしたが正にその通り。

売上比率でいうとまだ飲食の部分が大きいのですが、卸などの売上があることは非常に心強いです。


実は卸を含めたこのような業態をやられているところは少なく、同じような業態ではレストランoginoをされながら、table oginoやパテなどをデパ地下や駅ナカ、更には卸で販売するなど手広くやられている荻野伸也さんをベンチマークし、勉強させて頂いています。



==

他にも「ヨメのおかげ」「牛のおかげ」なんて項目で書くことも出来ますが今回はやめておきます。

ようやく1人前になれたので、今後はあまり年を気にせず振り返りもせず前へ突き進んでいきます!

20150603

なぜ3年やってこれたのか①


6月4日を持ってSHIBUYA CHEESE STANDは3周年を迎えます。

人間でいうと七五三の三。
ようやく1人前になった気がしております。

幸いにも接客業なので楽しいこと、嬉しい事も多いのですが、やはり毎日気苦労が多いし、考える事も多いです。肉体面でも年齢的になかなか疲れが取れにくくなってきました。
そんななかで飲食店の老舗の方にお会いしたり、開店20年なんてのを聞くとこれはもうただただ尊敬するばかりです。

というのも飲食店は1年で34.5%、2年で49.7%、わずか2年で半数近くが閉店するといわれてます。(株式会社・シンクロフードのサイトより引用)

新規参入が容易でありながらも競争が激しすぎる業界であり、その半分に残ることが出来ました。今考えるとオープンできたのも勢いでした。

そこで、なぜ3年やってこれたのか。
自分での整理としてもまとめてみたいと思います。


  あなたのおかげ


初っ端からこんなことを書くととてつもなく胡散臭くなってしまいますが、これは誇張でも大げさでもなく本心からです。

3周年を迎えるというこの文を書くときに、オープン時にお世話になった方々、オープン後、沖縄から北海道まで日本全国から来てくださった高校や大学の友人、ずっと会えていなかった小中学校の同級生、前職や前前職時の仲間、オープン後に仲良くなった友人、お世話になった生産者の方や業者の方、チーズ関係の方、チーズを注文してくれた皆さんの顔を思い出し今にも泣き出してしまいそうです。

もちろん私自身を知らないお客さまが大半かもしれません。

その方々を含め、今こうしてあるのは本当に皆さまのおかげです。

ありがとうございます。




  時期的なもの






図をみていただければわかりますが、ここ何年かでワインの消費量も増え、チーズの消費量ならびに国産チーズの製造量も増えています。

2014年はグラフには反映されていませんが、チーズの消費量も過去最大となり、国内のチーズ工房は200を超えていると聞いています。

そしてCPA(チーズプロフェッショナル協会)の方々も増えチーズ文化を浸透させるために多くの講演やプロモーションをやられています。

チーズ生産者、消費者を結ぶ役割をしてくださっています。

こういった時代背景があることも要因の一つです。
また後述しますが、SNSが広まった時期であったことも要因です。



  地域のおかげ


よく「CHEESE STANDはわざわざ行く場所なのに・・」なんてことを多くの方に言われるます。
どの駅からある程度距離があります。渋谷からだと雑踏を抜けてこなければいけません。


ですが、このエリアはわざわざ行く価値がある個性を持った店が連なっています。

もちろんこの地域が好きで選んだのは私自身でありますが、特集があったり多くの素敵なお店が出来てきたりと、この地域に助けられた面があります。


渋谷がニューヨークだとしたら少し離れたこのエリアは1店1店個性があるブルックリンのよう。
チェーン店もほとんどありません。
ばっと羅列してみます(ので、お詳しい方は飛ばしてください)


  • 神山町の顔でもある素敵なセレク都の本屋のSPBSさん、魚屋の魚力さん
  • 富ヶ谷の顔でもあるチョコレートのTHEOBLOMAさんや半年ほど前からできて話題のMinimalさん。
  • 同時期にオープンしてカルチャーを作り上げたFuglenさん
  • 手土産にも重宝するなナタ・デ・クリスチアノさん
  • パン好きの中でも評価が高い365日さん
  • 独自のセンスでセレクトされた雑貨とカフェのpivoineさんやME ME MEさん
  • 世界のMONOCLEさんまでも
  • 上質な生活用品を販売するartivandoさん
  • 花屋さんのNEO GREENさんも素敵です
  • 料理がべらぼうに美味しいビストロのsajiyaさんや、pignonさん、アヒルストアさんなどなど。

ちょっと参宮橋まで足を伸ばせばLIFEsonさん、TaruiBakeryさん、Little Napさんなんかもあります。
と羅列してみましたが、まだまだ紹介できないほどです。

SPBSさんやFuglenさんにはコラボでイベントをしていただいたり、初期にはアヒルストアさんにチーズを使っていただいたりと地域のお店さんに助けていただけました。

今後も色々と盛り上げていければうれしいです。

また公園近くにあることも有り、個々のライフスタイルを持った方々が多くいらっしゃいます。

そのエリアのおかげで実際、土日の上原〜神山町商店街、遊歩道はすごく多くの方で賑わっています。

ぜひ再度皆さま足をお運びください、笑。

後半に続く)

20150513

リニューアル

はじめまして。いや、リニューアルしました。

CHEESE STAND代表兼チーズをつくっている藤川と申します。

もうすでに半年ほど経ってしまいそうですが、2015年は個人としての想いを皆さんにより伝えていこうと決意いたしました。

店の経営のこと、チーズのこと、飲食業のこと。


 恥ずかしながら大学時代はバイトや部活の合間を縫ってHPビルダーでHPをつくったり、ブログを書いたりしていました。当時は音楽に興味がありそちらのライターになりたいと思ったこともあり稚拙ながら文を書く練習としてブログで紹介を書いておりました。いま思うとひとりよがりで恥ずかしい。


その後少しブログもやったりやらなかったり。20代は見聞を得るための時間だと自分の中で考え、聞くこと、メモすること、熟考することに時間を費やしてきました。


しかし尊敬する方の著書を読んだり、周りの同世代の尊敬する友人と話をする機会があると、自分の考えを持ち、自ら発するという行動をされています。



2015年、店を持ち3年目となります。


まだまだ未熟者ではありますが、自分の考え、意見、恥部をさらけ出し(捕まるか)、恥をさらしてでもアウトトップをしていくことで経験を踏めるよう、インプットへの好循環が生めるるように再度ブログを書いていこうと決意しました。


前まで「kiroku / alternative」ととりとめもなく記録、インプットしていたブログを一新し、今後 「CHEESE CRAFTSMAN blog(チーズ職人のブログ)」として藤川個人として、前述の飲食業のことやチーズのことなどをブログを通じて書いていこうと考えております。


店のことは、会社を通じて以下のサイトにて発信を続けてまいります。(更新ができておらず申し訳ございません。)
http://blog.cheese-stand.com/

今後とも何卒宜しくお願い致します。