20110930

音楽の記録 / Eliotto Smith

Eliotto Smith ”Say yes”

「好きな曲」、学校の同期の仲間と飲んでこんな話題が出たあとゆっくり考えていました。

音楽聞くときは気分にもよるんだけど何かを選ぶとなるとこれになります。
30年生きてきて一番好きな曲です。

彼の歌は切なく、美しい。

耳元で囁くように紡ぎだされる声、音節ごとの息遣い。
何度聞いても胸苦しくなり、鳥肌がたってしまいます。

映画「グッド・ウィル・ハンティング」にも使用された名曲なので聴いたことがある方もいるかも知れません。




この曲がラストを飾る、ほぼアコースティックギターの切なく綺麗なアルバム。
either/orぜひ聞いてほしいです。




20110927

店の記録 / BAR FILL UP


飲食店の投稿はこれまでしてきませんでした。

というのも飲食業界に働いているので、色々と裏や数字について考えてしまい客観的に見れないのと、ブログに書くぞと意気込んで批評的な目で見てしまうと、一番重要な飲み食べする楽しみがなくなってしまうという理由から、飲食にいくときはほとんど写真も取らず過ごしてきました。

でも、味じゃなくて、雰囲気などのいい店を紹介するのは先ほどの理由に該当しないんじゃないかと思ったので、記録として残しておきます。


BAR FILL UP  @西新宿
この店は、スクーリングパッドのレストランビジネスデザイン学部でも講師をしていただいた入川秀人さんのお店です。

入川さんの講義は、街をベースとした緻密なマーケティングのお話や定点観測などすごく勉強になりました。
講義のレポートはこちら


そしてこのお店は、ガソリンスタンドを改装しており、スタッフが精算などをする小さな建物がバーになっており、給油するところにはテントやベンチなどがあり、予約すればBBQも可能とのことです。


 
非常に分かりづらいけどテント
これじゃぁ伝わらないので、official siteを見てください。
これもわかりづらい

エッジが効きつつも、インパクト満点のテントがあったり、スタッフの方がBBQ検定の資格をとっていたり、マンハッタンに似せた西新宿の高層ビル群の絵やガソリンスタンドのSHELLから引用したロゴなどと遊び心もあり、ドンピシャでした。

この遊び心はぜひ取り入れていきたいです。

新宿での2軒目、3軒目にお勧めです!!

20110923

本の記録 / 出口治明

常識破りの思考法  出口治明  日本能率協会マネジメントセンター

ライフネット生命の社長の出口さんの著書です。副社長の岩瀬さんの著書はほとんど読んでおり、このブログでも何冊か取り上げているのですが、社長の出口さんの著書は読んだことがありませんでした。


ライフネット生命は既存の保険業界の常識を破り、従来よりも圧倒的に安い価格で保険商品を提供することに成功しました。

その社長の思考法について書かれた著書であり、その思考法を強固なものにするために旅と読書をお勧めしています。


===

サブタイトルにこうあります。

ビジネスマンは「旅」と「読書」で学びなさい!

目の前に何か解決すべき問題が生じたとき、「人類の歴史ではどうなっていただろうか」「世界の国々ではどうだろうか」と視点を大きく変えてみます。そこから導きだされるこたえがは、コロコロと変わる社会常識に流されることなく、長い目、広い目で判断した正しい答えになることが多いのです。

まず、なぜ旅と読書が必要なのかということについて引用しました。
旅や読書といったインプットの量を増やしていく。

ビジネスマンであれば経営者であれ従業員であれそのインプットをビジネスへと活かしていかなければなりません。


 〈ビジネスについて〉

数字、ファクト、ロジック

ビジネスの判断を誤らないための大切な視点がこの3つだと述べています。


整合性はとれているか

岩瀬さんのセミナーでもお聞きしたのですが、ライフネット生命は保険用のパンフレットなどを作らなかった。インターネットができない方には申し訳ないのだけども、お断りをした。

ここで、ある消費者の方から「私も保険に加入したいけど、パソコンがないから販売担当者を寄こしてください」と電話があったとします。
もし「お客様第一」だからと言って、現時点でこのご要望にお応えしたら、ライフネット生命のビジネスモデルは、整合性がとれなくなります。販売担当者に人件費をかけ、立派な商品パンフレットを大量に印刷すれば、その分のコストは保険料に上乗せしなくてはなりません。(p34)
仕事をしていると、色々と矛盾や予想外のトラブルも出てきます。その際に、数字などを確認の上、整合性がとれているかということを、自分の判断基準にしていきたいと思います。


〈旅について〉


歴史と地理を勉強しなさい

アメリカの元国防長官を務めたキッシンジャー博士の言葉を引用しています。
世界にはいろんな人がいる。すべての人が生まれた土地と先祖のことを誇りに思っている。そういった人たちを理解するためには彼らの土地先祖のことを知る必要がある。そして、彼らと対話を重ねなければ、世界の問題は何一つ解決することはできないのだ。そこで私は若い人たちに言いたい。暇があれば歴史(彼らの先祖のこと)と地理(彼らの生まれた土地のこと)を勉強しなさい。それからできるだけ世界を歩いてみなさい。(p138)

話がとびますが、私が司馬遼太郎の著書をこよなく愛するのも、彼自身が歩き、現地の人の方言やら風習や手紙から、当時の人々の思考や行動を紐解き、まるでそこにいるかのように描き上げているからです。

そうやって足を使って書き上げられた本から学んだあとに、実際にその土地を訪れてみると「あぁ、この場所は、この地名は」と感慨深いものがあります。



〈読書について〉


花には香り、本には毒を


このフレーズは現代思潮社の広告コピーとのことですが、本にはすぐ内容を忘れるようなものではなく、いつまでも自分の中にの毒を残しているものでなければならないとも述べています。


インプットの量が増えれば日々の判断に必要な数字やロジックなどの精度は上がって行きます。


これらを踏まえて、仕事で成果をあげるためには自分でルールを作ることが必要であるとも説いています。

出口さんのルールとは、「誘わられたら断らない」とのことです。そのルールを守ったことで、仕事をつなげたこともあり、ライフネット生命もそうして生まれたとも述べています。


他にもおすすめの国や地域、おすすめの本なども書かれています。



20110917

本の記録 / 奥山清行


フェラーリのデザインや地元・山形の鉄器などのプロデュースをしている奥山清行氏の著書。

あの流線型の近未来的なイタリアらしいデザインを日本人が生み出していることをすごく誇りに思います。


イタリア人のみではなく、外国人と共同仕事をするということは、(これは私も経験があるのですが)すごく神経を消耗します。
ましてアウェーの他国で働くとなるとなおさらです。

自己主張が強く感情あらわにに反論してくる。舌鋒も鋭いです。

著者はその中で日本人として成果を上げている。
また、それぐらいでなければならないとも述べています。


「プロ」としての姿勢をすごく勉強になりました。


フェラーリと鉄瓶  奥山清行  PHP


p15 ピニンファリーナを創業したを創業したバチスタ・ピニンファリーナは、何度でもスタジオに足を運び、車のデザインを「もっとシンプルにしろ」と言い続け、デザイナーたちは「これ以上シンプルにしたら、なにもなくなっちゃう」と頭を抱えたそうです。  
20 イタリア語というのは、口を大きくあけないと話ができませんから、車の中で鏡を見ながら口の準備運動もしています。ロック音楽で気分を高揚させ、口の運動でしゃべり負けないようにして、職場に向かうわけです。そうしないと、彼らの気迫に呑まれてしまうのです。  
140 ハード中心にものを考えていくのは、規格の変更などのリスクがあるのでとても危険です。 143 ぼくは管理職としてチームをまとめようと腐心していましたが。個人がしっかりしなければチームは成り立ちません。まず個人を確立させることが何よりも大事だったわけです。(中略)ぼくが管理すべきは仕事であって、人ではなかったのです。  
173 国際社会で仕事をしていて、自己主張をしないのは「悪」だと気づかされます。少なくとも美徳とおもわれることはありません。自分から進んで知ってもらうように努力しなければ誰も理解してくれませんから、そのことで不利益を招くことは利口なことではないというわけです。


また、プロとしての意識をセミナーで述べられたリンクを最近見て感動しました。
長文ですが、とても面白いのでぜひ。

いつ来るかわからない15分のために常に準備をしているのがプロ、デザイナー奥山清行による「ムーンショット」デザイン幸福論


20110911

音楽の記録 / thee michelle gun elephant

たまにはこんなのも。
高校最後から大学にかけてのマイ青春バンド、ミッシェル。
私こういうのも好きなんです。

ミッシェル派とブランキー派がありましたが、私はダントツこちら。


ドラムがどうだの、曲のテンポがどうだのといった意見を聞いたことがありますが、そんなことを通りこしてチバの声が格好良すぎる。



「vocalはひとつの楽器だ」という私の持論があります。

(チバの他にも邦楽だとヒロトやYO-KING、洋楽だとジョン・レノンやエリオット・スミスなんかも好き)


いいなー

疾走感ハンパない「ジェニー」


ポップチューンな名曲「ダニー・ゴー」

ミッシェルといえばこの「バードメン」か「GT400]を思い出す
「じめる うなだれ」って部分がすごく好き



やっぱりライブ盤をお勧めします。












20110907

本の記録 / 日本史(司馬遼太郎)



手堀り日本史  司馬遼太郎  集英社文庫


司馬遼太郎氏は私の大学の偉大な先輩です。にもかかわらず大学当時は残念ながらそれほど関心がありませんでした。
きっと、大学時代にもっと興味を持っていたら或いは違う人生になっていたかもしれません。
きっと図書館にたくさん資料もあったことでしょう。ちくしょう。



ものの考え方、言葉の息づかい、言語や風習から歴史を感じ、文章を完成していくそのプロセスは生活においてすごく勉強になりますし、その物語の登場人物の司馬氏からみた物の考え方は「リーダーとは」と参考になることが多々あります。

死ぬまでに、すべての著書を読もうと思っています。


===


p.35 (加藤)嘉明は、「オレは英雄豪傑を家来にほしくはない。彼らは名や利を欲し、戦場でスタンドプレーばかりして、人にめだとうとするが、実際にはあまり役にはたたない。むしろ律儀者で軍隊を編成したい。すると、一旦上から出た命令を勝手に解釈して進退するようなことがない。ここを退くなと命ずれば必ず退かない。進めといえばどんな困難なときでも進む。勇敢なものよりも律義者でできた軍隊が強いのだ」

p.94 信長も頑固のように見えて、非常に柔軟です。信長に非常に感心することがあります。彼は桶狭間でいちかばちかのバクチをしますね。しかし彼は、その障害のうちに、こんなバクチは二度と打とうとしない。こんなものは百に一つぐらいしかあたるものではない。そのことを彼はよく知っていたのでしょう。(中略)普通の人間だったら、オレはやったぞ、生涯の語り草にして、「あれを見習え、諸君!」とか何とか言うことになるでしょう。しかし、かれはついに、自分自身の成功を見習わなかった。

p.100 一番手ではなく二番手として出てきて、先人の構想にしたがって、何かを作り上げてゆく。どうも颯爽とはしませんが、大体颯爽とした連中は騒動家ですから騒動時代には生き生きとした姿を見せますが、建設期に入ると、博文のような処理家が現れる。物事の処理というのは歯切れの悪い思考が必要なのです。

p.102 彼(坂本竜馬)は長崎という特殊な地理的・経済的位置を発想点にして、そこから幕末の正常を観望し、その錯綜しきった情勢を鎮める方法をつぎつぎに考えついてゆくわけですが、そういうかれの着想は他の人から見れば、確かに奇想天外のようにも見えた、しかし、その野望と長崎という性格、位置を含めた発想点に身を置いてゆくと、あるいは私たちでもそういうような着想は得られたかもしれない。(中略)先の見える人間が、その構想を打ち樹ててゆくについて、格別な場を見つけてそこに立つ、というのは大切なことですね。

p.129 処理家には敵がいない。処理するだけでビジョンがないから、敵対関係が生じない。

p.137 日本人はどうも、社会を壊してしまうことはいけないことだ、とおもっているようなのです。そして社会が壊れたら、すぐ新しい社会をくみ上げていきましょう、というところがある。新しい社会ができると、立場立場で非常に不満ではあるけれども、作ることに正義を感じて妥協してしまう。

p.167 私は、思想というのはありがたいものではなく(中略)土木機械にすぎないものだ、と思い始めているんです。思想の奴隷になっていては、どうしようもない。思想とは、自分たちの支配すべき土木機械だ、と開き直ったわけです。

p.211 いろいろなことをやっていくその過程で、町人の素姓でありながら大勢の手下が着いてくるっと言う事実や、内部統制をやるためにおこなう戦争でも彼の舞台が非常に強いというようなこと、これは部下たちにおしたてられる道三の魅力をよく示しているとおもうんです。魅力がなければおしたててもらえないでしょう。


手掘り日本史 (集英社文庫)


司馬 遼太郎 集英社 2007-01-19
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20110904

本の記録 / 太閤記

新史 太閤記  司馬遼太郎  新潮社



豊臣秀吉という人物が小さいころから何故だかあまり好きではありませんでした。
どうにも歴史の本で見る他の偉人のようなヒーローではなく、人間臭が強すぎて。


司馬遼太郎が描く本書や「へうげもの」を見てからその人間臭さが逆に好きになってきました。
年をとったのかもしれません。
見習うべき部分が多々あります。


===

p.24 「おれはこの世で立つ何物も持ち合わせておらぬ。金も門地も。 ― せめて律儀でなければ人は相手にすまい。」

p.39 (― ここが先途)と、猿は思った。必要とあれば自尊心を捨てることに馴れきっている。

p.39 猿はこの平和さに驚き、(このような土地に長くいれば、澱みの水が腐るがごとく心も腐ってくるのではないか)・・・長くいるべき土地ではないかも知れぬ、と感じた

p.46 「わしは奉公を商うとるのよ」(中略)猿の言う真意は、「使われているのではなく、一個の独立した人間とした自覚を持ち、奉公というものを請け負っている。されば松下屋敷の経費はできるだけ縮め、主人嘉兵衛に徳をさせるのが自分の器量であり、誇りである」

p.94 「人の気が沈めば、戦はしまいだ」

p.96 新恩を頂戴して、信長に損をかけたという。損をかけた以上、敵地を切り取り、切り取る以上少なくとも千貫切り取り、信長の出費を零にし、残る五百貫分だけ信長に儲けさせねばならぬ

p.103 士が愛されるということは、寵童のような情愛を受けたり、嬖臣のように酒色の座に同席させられるということではあるまい。自分の能力や誠実を認められることであろう。

p.129 (信玄が、履を舐めよというのなら、地に身を投じてなめてやる)とさえ、思っていた。自尊心の病的につよいはずのこの男(信長)が、こと調略になると、自尊心を凍結することができた。

p.134 毒気があれば、知者と悪人と同義語だ、と、猿は言うのである。猿はひとに、毒気がないことを印象させるために、思い切って陽気な自分を演出していた。陽気でさえあれば盗賊でさえ愛嬌ものになる、という機微を、猿は知り抜いているようであった。

p.151 「おれという舟に、安堵して乗っておれ。舟の外に出ようとすると犬死するぞ。生死をすべておれに任せよ。息をそろえ、心をそろえて、おれの指示通りに動け」

p.158 もともと敵というものは来るときに鋭く、岐路に突くときに惰気が生じます。「敵の惰気を打つ」

p.216 (すこし、強引だったかな)という多少の不安はあったが、なにかまわぬ、みなおれの論に服したのだと思い、安堵もしていた。が、ひとというものはわからない。議論で負けたものは帰ってそれを恥辱とし、議論の勝者に本心まではひきわたさないということを知るには、(黒田)官兵衛は若すぎた。

p.220 家臣をそこまで肥大させるべきではないという統率の原理

p.239 信長の意見は、戦略的にはただしいであろう。しかし織田家は天下に信を失う。(信を失えば天下がとれぬ)というのが、藤吉郎の持論だった。(中略)信長恃むべからず、としてたれかがまた叛く。

p.250 その実務的関心から自分の文明思想を変えようとした。変えたものが時代のあたらしい勝利者になるということを、信長は敏感に察していた。

p.251 この宗門の背景にあるあたらしい文明を知ることによって宇宙や世界の原理を知り、それを知ることによって自分の発想力を豊かにしようとしているのであろう。

p.293 官兵衛は智がありすぎ、その智を若さが、つい誇り顔に舌の端にのせてしまった。智はときに深く秘せられなければならない。

p.300 速さこそ、勝利だ

p.306 この発表(籠城する気がないため兵糧をなくすこと)をきけば城内城下は沸きあがるであろう。沸きあがった勢いがこの一線への覚悟になり、景気づけになり、戦意になるであろう。さらに複雑なこの混成軍の士気が一時にひとつ心にまとまるにちがいない。

p.337 人間一生のうち、飛躍を遂げようとおもえば生涯に一度だけ渾身の知恵をしぼって悪事をせねばならぬ。

p.343 感謝は過剰すぎるほうがいいとこの男は平素から思っていた

p.359 人の行為によろこばぬと人はかえって裏切るということを、秀吉はよく知っている。

p.379 調略をしようと思えば、いま家康がなにを欲し、なにを怖れ、なにに魅力を感じているか、ということについて犀利な分析がなければならない

p.415 この男は、内通、裏切りといったような、ひとの倫理観を刺戟するような言葉をいっさい使わなかった。

p.450 秀吉は毛ほどもその胸中の動揺を配下には見せなかった。武将たる者はいかなる名優よりも名優であるべきであろう。

p.455 あせっては、勝てない。あせった側がいくさに勝ったためしのない

p.464 秀吉は、この(中入れ)作戦についての不安感を、兵力を増強することで紛らわそうとした。(中y略)この不安感から免れるには兵力を増強するよりも、この悪しき着想そのものをやめさせてしまう以外にないということを秀吉はよくわかっていた。

p.479 天下に勇気と知恵を兼ね備えたものはわずかにおり、それぞれの国のぬしになっている。しかしながらその上に大気をそなえた者はいない。大気が天下を取らせるのだ。」と夜ばなしにいったが、子の大気は惜しげもなく人に領地をやれる精神であろう。

新史 太閤記

司馬 遼太郎 新潮社 1992-08
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20110901

本の記録 / ブルーノムナーリ

モノからモノが生まれる  ブルーノ・ムナーリ  みすず書房

絵本「木をかこう」「ABC」などで有名なブルーノ・ムナーリの思考法が書かれた著書です。


絵本だけでなく、教師やプロダクトデザイナーといった側面をもつ著者だからこその緻密な思考でモノを生み出す姿勢について書かれています。(私が知っているイタリア人に、こんな緻密な方はいませんでした。ってイタリア人に怒られそうだけど・・)

また、日本や禅に精通しており、そこで多大な影響を受けたと語っているのを何かで見たことがあります。


==

P5  デカルトの方法における4つの規則 

第一に、明らかに真で認められない限り、どんなことも決して真であると受け入れないこと。つまり、きわめて慎重に、早合点や先入観を避けること。あらゆる、疑いを取り除くほどにはっっきりと明瞭に、わたしの知性に示されること以外は、決して判断に含めないこと。

第二に、それぞれの問題を、できるだけ多く、そしてより良い解決に必要とされるだけ、たくさんの小部分に分けること。

第三に、自らの思考を順序良く導くこと。もっとも単純で、もっとも認識しやすいことから始め、少しずつ階段を上るようにし、もっとも複雑な認識にまで上りつめること。そして、そのままではどちらが先にあるのかわからないものの間にも順序を仮定しながら行うこと。

最後に、どんな場合においても、一つ一つ完全に数え挙げ、総合的な見直しを行い、何一つ見落としたものはないと確信すること。


P14 企画を立てるには、規則を尊重せねばならないとなると、自分の想像力が押さえつけられるように感じる人がいる。個性はどこで出せばいいのだろう?彼らは自問する。私たちはみんなバカなのか?ロボットなのか?みんな平均化されているのか、同じになっているのか?と。すると再びゼロから、うまく企画を立てるのに必要な経験をやり直し始める。最初になすべきことと、後になすべきことを理解するのに多大な努力をする。そして、すでに経験から得られた方法に従っておけば起きないような間違いをし、その間違いを訂正するのにふたたび多くの時間を浪費することになる。


P15 企画における一連の作業とは、客観的価値から成り立っており、その客観的価値が、クリエイティヴな企画者の手のなかではじめて有効な手段となるのである。それでは、いったいどのように客観的価値が認められるのだろう?客観的価値とは、すべてにおいてそうだと認められる価値のことだ。


P36 第一に必要なことは、問題そのものを定義することである。「多くのデザイナーは、問題が依頼主によって十分に定義されていると思っている。しかし、大部分が不十分である。」


P40 ひとつひとつ、小さな問題に分解してから(ここでようやく創造力が介入し始め、アイデアを探し出そうとする考えは放棄される)、一貫性を持って再構成する。問題それぞれの機能的特性、問題同士の機能的特性、また、素材、心理的側面、人間工学、経済性、そしてフォルム、というように、それぞれの特性に応じて問題を再構築する。美しさは正しさの結果だと、ある日本の規則が言っている。


P70 ブランドマークのレイアウトでは、マークを5mm以下に縮小しても認識できるかどうかを確認しなければならない。


P100 ある人が、知らないものを見ると、こういう。いいね、とか。あんまりよくないね、と。それでおしまい。またある人は、何と似ているというかもしれない。例えばヴァイオリンの前で、「ローファットのハムみたい。」というかもしれない。モノを、見て、観察して、分析するとは、そういうことではない。前者個人的好みであり、後者は知っているものとの類似を見ているのである。もし、デザイナーが、モノがそうある理由を理解したいと思うなら、可能な限り全ての側面について検証しなければならない。それは、個人的価値に基づく観点からだけではなく、機能性、操作性、色、フォルム、材料といった客観的価値に基づく観点からも検討が必要だということである。そうした事項を、客観的ない順に従い検証し、その結果、正しいか、間違っているかを検討しなければならないのである。


P122 製造され続けているモノを、美しいか醜いか、あるいは好きか嫌いかという観点からだけではなく、あらゆる側面について注意深く観察する習慣がつけば、申し分のない企画の精神が形成される。

P130 単純化とは、あらゆる問題を解決しようとするとき、機能を実現させるのには役に立たないことを除外して考えることである。単純化とは、費用を削減し、作業時間、つまり組み立てや仕上げの時間を短縮するということでもある。単純化は難しい作業であり、豊かな想像力が必要とされる。


P225 そうした(本を読まない)人々は、本には「知」があるということを知らない。本のおかげで、人は物事の知識を増やすことができ、起きる事柄の多くの側面を理解できるということを知らない。本はほかの興味関心を目覚めさせるということを、本はよりよく生きるための糧になることを、知らないのである。


P240 3歳の子供というのは、周囲の環境について、感覚的に経験したことを覚える。「子供の感覚受容体はすべてが同時に開いている。つまり子供は自分の生きる環境について相対的に感受しているのである。


P244 人間の脳みそは、コンピューターのように一生のあいだ記憶し続ける。何歳になろうとも、その時知らないことに直面すれば、それを理解するために既に知っていることと関係づけようとする。その機会を逃さずに、データを的確に記憶できれば、よりいっそう生活しやすくなるし、必要な時に役立つ情報を得ることができる。クリエイティヴな人間とは、豊かな能力を持つ人間のことであり、自身の問題を解くのに多くのエキスパートを必要としない人間のことである。

P316 「重要なのは、物事をそうあるものとしてとらえるだけではなく、こうあり得るかもしれないと考えることである。一般に、ある一つの事柄でも、多くの観点から検討することができ、ときには、わかりやすいとはいえないものの見方が、より有益なものを引き出す。そうあるものとされる事柄にぶつかったとき、他にはどうあり得るだろうかと掘り下げることは、どんな場合にも有効な手段である」(エドワード・デ・ボノ)わたしは、これに次のように付け加えたい。それが何になり得るだろうか、あるいは、それが他には何に役立つだろうか、と検討すること、と。


P377 利用者の感覚、それもすべての感覚を考慮して設計するということである。なぜなら利用者は、ある製品を前にしたとき、あるいは試したとき、すべての感覚で製品を感じ取るからだ。見た目できにいっても、他の感覚で気に入らなければ、製品としては不合格。




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太陽をかこう、木をかこうは子どもができたら見せてあげようと思っています。