20170303

ブランディングとマーケティング

今回の日経ビジネス ・中川政七商店社長の中川政七さんの話が現在もやもやしていてすっきりしたことがあったのでメモ。
そもそも私が「マーケティング」ではなく「ブランディング」という言葉を使うには理由があります。大まかにいえば、マーケティングは市場調査を基に商品を企画していくこと。調査には投資が必要です。中小企業が大手に勝てる可能性は低いでしょう。ブランディングも最終的に商品に落とし込まれますが、出発点はどちらかというと市場ではなく自分にあります。「自分がどうしたいか」「どういう商品を作りたいか」に力点を置いているのです。(『日経ビジネス No.1880「超常識の発想法」)』
目から鱗でした。

そうだ、僕らはブランディングをしているんだ
彼らはマーケティングをしているんだ、と。

他にもメモ

中川政七流、ブランドの作り方
  • まず「自分たちは何者か」を考え、ブランドのセグメントを決める
  • 流れるように説明できる「物語」を核に商品を企画する
  • 社長や社員、店員が商品について同じように説明できるようにトレーニングする


社員をサーフィンにいかせよう/イヴォン・シュイナード

Management By Absence(不在時による経営)(p.5)

こちらが助言を求めさえすればー何も知らないことを認めさえすればー熱心に手を差し伸べてくれるものです。そんなふうにして、私は会社を築いてきました。実のところ、イヴォンの会社に対するビジョンと目標を通訳していたに過ぎないのです。(p.60)

自らの責任と金融債務についてじっくり考えた結果、ふいに、自分が企業家であり、おそらくこれから長い間、企業家でありつづけなくてはならないことを悟った。また、このゲームに勝つには、真摯な姿勢で取り組む必要があることも。(p.61)

「企業家を理解したいなら、非行少年を観察せよ」という言葉がある。非行少年は行動でもって「こんなの、くだらねえ。おれはおれのやり方でやる」と言っている。(p.61)

私たちは、コントロールできなくなった成長が、これまで会社を成功に導いてくれた価値観を危険に晒しているのだと気づいていた。こうした価値観は、紋切り型の答えを提供するハウツーものの経営入門書には記されていない。自分たちが常に正しい疑問を抱き、正しい答えを見つけられるよう、哲学的で想像力をかきたてるガイドとなるものが必要だ。(p.97)

(私たちの価値観より)

  • 最大の注意を払うべき対象は、製品の品質である。優れた品質とは、耐久性があり、天然資源(原材料、一次エネルギー、輸送など)の利用を最小限に抑え、多機能で飽きがこず、用途に最適であることから生じる美がそなわっていること。一時的な流行は、断じて企業価値観ではない。
  • 取締役会も経営陣も、調和の取れた共同体は持続可能な環境の一部であることを肝に銘じる。一人一人が共同体に欠かせない要素であり、その共同体には従業員も、居住する地域の社会も、納入業者や顧客も含まれる。自分たちがこれらすべての関係先に対して責任を追っている事を認識し、全般の利益を念頭に置いて決定を下すものとする。また、当社と同じ基本的価値観を持つものを雇う一方で、文化的、倫理的多様性は保っていく。
  • 第一の目標ではないことをわきまえた上で、ビジネスを通じて利益を追求する。ただし、成長及び拡大は、当社の本質的な価値感ではない。
  • 社内のあり方についていえば、経営幹部は一つにまとまって行動し、透明性を最大限に保つ。その一環として「オープンブック」方針をとり、通常の個人のプライバシーや「業務上の秘密」を冒さない範囲で、従業員が意思決定に参画しやすいようにする。企業活動のあらゆる階層において、ざっくばらんな意見交換、協力的な雰囲気、できる限りの簡素化を促すと同時に、活力および革新性も求めていく。(p.99)
また、危険を伴うスポーツの経験を通じて、もう一つ別の教訓も得ていた。ー決して限界を超えないこと。高みを目指して進むとき、崖の縁にとどまっている間は命がある。だが、それを超えてはならない。自分に正直に、自分の能力と限界を知り、自分の器の範囲内で生きよ。(p.101)

イコロイ族は、意思決定の過程において七世代先の子孫のことを常に考慮する。パタゴニアが今回の危機を乗り切れたら、あらゆる意思決定を、百年先までビジネスを続けるという前提で下さなくてはならない。それほどの長期間にわたって維持できる速度で、成長を続けていくのだ。(p.102)

私たちの理念は規則ではなくガイドライン(指針)ということだ。どんなプロジエクトに取り組む際にも礎となるものであり、たしかにそれ自身は「石のごとく不動」だが、様々な状況への適用に関しては違う。どんな企業であれ、長く続いてきたところでは、たとえビジネスのやり方が次々に変わろうと、価値観、文化、理念はいつまでも変わらない。(p.110)

知識があればあるほど、必要なものは少なくなる。 (p.119)

全体への責任
 私たちが何を使い、何をどうつくり、何を捨てるかは、実をいえば倫理観の問題だ。私たちは、「全体」に対して無限の責任を負っている。常に果たそうと努めているが、いつも果たせるとは限らない責任。その中に、製品の品質と耐用年数がある。
 高品質の製品をつくることは、製品を買う人や使う人に敬意を払い、責任を果たす一つの手段である。(※後略 グレンフォルシュ・ブルーグスの斧のカタログより)(p.121)

人々は消費支出の85〜90%を生活の質の向上に当てている(p.135)

自分のアイデアをみんながいいと褒めたら、そのアイデアは時代遅れだ(p.148)

つべこべ言い訳をせず、やればいいではないか。(中略)「時間がなくて」あるいは「忙しくて」手紙の返事が書けなかった、折り返しの電話をかけられなかった、週報をかけなかった、机を片づけられなかった・・・。これらは嘘の言い訳だ。これらの言葉の裏に隠れた真実は「優先度合いが低いからまだやっていない」のであり、もっと言うなら、やりたくないというのが本心だから、いくら待っても折り返しの電話などかかってこない。人はやりたいことをやるものなのだ。(p.150)

競争の先頭に立ちつづけようと思うなら、アイデアは源にできるだけ近いところからえなくてはならない。専門的な製品の場合、私たちの「源」はダートバッグのコアな客層だ。彼らこそが製品を本来の目的で身につけ、何が使えて何が使えないか、さらに何が必要化見つけ出してくれる。(p.151)

「デザイナー」にとって「製作者」との早い段階からの共同作業がいかに大切かを学んだ。(中略)同じように、よりよいレインジャケットを作りたいなら、製作者は製品に必要な昨日を初めから理解しておくべきだし、逆にデザイナーは今後どんな工程を経るのかわかっていなくてはならない。できあがるまでは全員が作業にかかわりつづけ、チームとして働くことが肝要だ。(p.157)

私たちが納入業者なり契約業者を選ぶ際、真っ先に注目するのは、相手の仕事の質だ。(p.159)

私が思うに、パタゴニアは一種の生態系であり、業者や顧客はその欠かせない構成要素である。システムの何処かに問題が生じれば、やがて全体に影響が及ぶため、有機体のすみずみまで健康に保つことが一人一人の最優先事項となる。(p.160)

もともと風変わりな会社なので、ストーリーをはっきり伝えることがひときわ重要になる。だから文章を用いて製品を売るのと同時に、私たちの考え方もつたえてきた。私たちのコピーには2種類ある。ー私たちの価値観を反映する、あるいは問題を広く知らしめるような個人による寄稿文と、製品の内容を説明する文章だ。(p.201)

パタゴニアのプロモーション活動にはカタログでもそれ以外の手段でも、3つの指針がある。
  1. プロモーションするよりも人々を啓蒙して奮起させること旨とすること。
  2. 信用はカネで買うのではなく勝ち取ること。最も望ましい媒体は、友人どうしの口コミによる推薦、あるいは出版物における好意的な意見である。
  3. 広告は最後の手段と心得ること。
理想をいえば、すばらしい製品はすべて、なんのプロモーションをしなくても売れるべきだ。(p.203)

私たちの広報活動に対する姿勢は、きわめて積極果敢と言える。何か知らせたい事項があれば、それに力を注ぐ。新しい製品のことであれ、環境問題への見解であれ、育児プログラムに関することであれ、記者たちに懸命に働きかけてストーリーを伝えようとする。だが、見かけ倒しの宣伝資料を作ったり、展示会で手の込んだプレスパーティーを開いたりはしない。私たちの考えでは、メディアの注目を集めるいちばんの方法は、なんらかの主張を打ち出すことだ。(p.207)

広告を出す場合は、感銘をタイムリーかつ速やかに与えるのが鉄則だが、カタログの写真やコピーに用いるのと同じ基準をすべて満たさなくてはならない。(p.208)

私たちのミッション・ステートメントは、利益を上げることには少しも触れていない。実のところマリンダも私も、最終的な損益はその年度に成し遂げた善行の数だとみなしているぐらいだ。とはいえ一企業である以上、ビジネスを続けるため、さまざまな目的を果たすために利益を上げる必要がある。利益とは、顧客がパタゴニアの行いに投じてくれた信任票だと考えている。(p.209)

私たちの理念からすれば、財務はビジネス全体の根幹ではなく、ほかのあらゆる部門を補完する役割を持つ。利益は、私たちの働きぶりや製品の質と直に結びつく。品質をまともに追求しない企業は、経費を削減したり、うわべの需要をうみだして売上を増やしたり、一般従業員をこき使ったりして、利益を極限まで引き上げようとする。(p.210)

子どもたちがザ・ノースフェイスやティンバーランドではなくパタゴニアの黒いダウン・ジャケットを購入するのを期待して市内バスに広告を載せたりするのは、言語道断といえる。私たちは製品を欲しがるだけでなく、必要とする顧客に購入してもらいたい。私たちは大企業になることには興味がない。優良企業になりたいのであり、小さな優良企業のほうが、大きな優良企業よりも実現しやすい。したがって自制心を身につけなくてはいけない(p.213)

アメリカの先住民の首長は、いちばんの金持ちだから、あるいは強力な指示集団があるからその地位にえらばれたのではない。選ばれたのは弁論術に長けていたからで、これは総意を取り付けるために必要な技能だったのだ。(p.229)

答えは(会社に寄せられるほぼすべての質問への答えと同じく)理念の中にある。(p.300)

同僚が登山やサーフィンで休みをとるときには「残りの仕事は自分がやるから楽しんでこい」と言い合える雰囲気がある。同僚や販売先、取引先などに気配りするインテグリティ(誠実さ)をパタゴニアは大事にしている。(p.330)



Quality fast

  Quality fast


10月に行われたナチュラルチーズコンテストという退会で日本の150以上のチーズの中から、リコッタ部門にてリコッタが最優秀賞、パスタフィラータ部門にてモッツァレラが銅賞、ブッラータが銀賞を頂きました。

とても名誉あることです。

さらに6月には、パリで開かれる国際コンテストに出品する権利を得ることが出来ました。

頑張って東京で牛乳を作り続けて頂けている酪農家の皆さまにも本当に感謝です。


店をやる前に、経営者の方に相談に行ったことがあります。
チーズはおろか飲食にも全く関係のない職業の方ですが、いつお会いしても言質一つ一つがとてもストレートで真理をつかれていて、尊敬している方です。

当時の僕は、起業家気取りで生意気だったかもしれません。
立地や採用の質問や、自分のビジネスプランの話ばかりをしていました。


その方は「飲食業は、やっぱり味がすべてでしょ」と一言。


その言葉を心にずっと秘め、チーズ作りでは職人としての道を掘り下げていった結果、こうした賞を頂けたのではないかと思います。


やりたいことも変わってきました。
経営者としてビジネスと本質とのバランスを常に考え、規模は求めず、本質を極めていく。


東京でチーズをつくるということ。
本当に美味しいチーズを広めるということ。
これらが不可能ではなかった、という自信を得ることが出来ました。


今後はしっかりとスタッフにチーズ作りを教えながら、チーズ文化を広めていきたいと思います。